その日、患者さんは、いつもと全く違う様子で、外来に訪れた。両肩を揺らすような激しい呼吸で、ぜいぜいと音がする。横になると息が苦しいので、眠れないと言う。
これは、起座呼吸という症状だ。
起座呼吸は、横になると呼吸が苦しくなり、体を起こすと楽になる。心臓の機能が落ちた、心不全でよくみられるサインである。心不全の原因は、いろいろだが、まず、心筋梗塞を第一に疑う。
起座呼吸では、横になると、心臓の高さが体と同じ高さになるので、心臓にもどってくる血液の量が増え、その結果、肺に行く血液の量が増えるが、心臓のポンプ機能が落ちているので、肺に血液がたまった状態になり、息が苦しくなる。
この患者さんも、心筋梗塞による心不全だった。
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