ピロリ菌を除菌しても胃がんにならないわけではない

ピロリ菌

ピロリ菌に感染すると、慢性胃炎をおこし、年間0.3%程度の頻度で胃がんが発生します。

ピロリ菌は小児期(ほぼ6歳以内)に口から感染し、胃の粘膜に定着して感染した状態が持続します。ピロリ菌の感染の80%以上が、親から子へ感染する家族内感染と考えられています。5歳までに感染が成立すると、生涯にわたって感染は持続します。

薬物を使わなければピロリ感染がなくなることはなく、胃の粘膜は萎縮し、慢性胃炎となります。

成人になってからピロリ菌が感染しても、一時的に急性胃炎を起こすことはあっても、生涯にわたって持続感染することは少ないです。

現在の日本におけるピロリ菌感染者は3600万人と推定されています。しかし、現在の中学、高校生の感染率は3−5%ほどに低下しており、今後、ピロリ菌感染者は着実に低下していくと思われます。

ほとんどの胃がんは、ピロリ菌感染に伴う慢性胃炎を背景として発生していますので、ピロリ菌除菌によって胃がんの発症が予防できます。しかし、ピロリ菌除菌後も完全には胃がん発生はなくなりません。一度、萎縮した胃の粘膜は元には戻らないからです。

除菌により胃粘膜の炎症が改善し、胃がんのリスクはずいぶんと減りますが、未感染者と比べると胃がんリスクははるかに高いのでフォローが必要です。とくに除菌をしたときに、すでに高齢であった男性は胃粘膜の萎縮がすすんでいるので、リスクが高いといわれています。

ピロリ菌を除菌した後も、定期的な検査(胃内視鏡検査)は必要です。

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