認知症は進行する病気です|FAST分類

認知症

認知症は、単に記憶力が低下しているだけではなく、日常生活が困難になる病気です。

認知症は、進行する病気です。認知症の7割近くを占めるアルツハイマー病の進行程度の判定には、FAST分類がよく使われ、一般の方にも理解しやすいと思いますので掲載しました。

FASTは、認知症の進行度を7段階に分類したもので、これを使って、現在の病気の進行度や、今後どのように症状がすすんでいくかを予想することが可能です。

たとえば、入浴に介助が必要になったり、失禁するようになると、ステージ6の進行度。話ができなくなったり、感情の表現が乏しくなると、最重度7の状態と考えられます。

アルツハイマー病の進行ステージ(FAST分類)

ステージ 臨床診断 特徴
1 正常老人 主観的にも客観的にも機能障害なし
2 正常老化 物の置き忘れ、もの忘れの訴えあり。換語困難あり
3 境界領域 職業上の複雑な仕事ができない。熟練を要する仕事において同僚によって機能低下の指摘がある。新しい場所への旅行は困難
4 軽度 パーティーの計画、買い物、金銭管理など日常生活における複雑な仕事ができない
5 中等度 状況に合わせた適切な洋服が選べない。入浴させるために説得が必要なこともある
6a やや重度 独力では服を正しい順で着られない
6b   入浴に介助を要する、入浴を嫌がる
6c   トイレの水を流し忘れたり、拭き忘れる
6d   尿失禁
6e   便失禁
7a 重度 言語機能の低下(最大約6個に限定)
7b   理解し得る語彙は「はい」など、ただ1つの単語
7c   歩行能力の喪失
7d   座位保持機能の喪失
7e   笑顔の喪失
7f   頭部固定不能、最終的に意識喪失(混迷・昏睡)
Sclan SG et al. Int Psychogeriatr. 1992;4 Suppl 1:55-69.

認知症というと、ただ、頭がぼけている状態と思われがちです。

進行しても、環境を変えれば良くなるのではないか。リハビリすれば、また、元通りになるのではないか。と、思っている患者さんの家族は多いです。

しかし、それは、誤った認識です。

認知症は、家の中に閉じこもり、寝込みがちになり、寝たきりになっていく。ものを飲みこむ力が落ちて、食事が胃ではなく、肺に入ってしまう(誤嚥、ごえん)。誤嚥が起きると、肺炎を起こします。誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)は、急に起こり、重症化することが多いです。抗生剤を投与しても治りにくく、何度もくり返すことが多くなります。抗生剤が効かない「耐性菌」による肺炎を起こすと、いよいよ治療法がなくなります。こうして、次第に衰弱し、死亡します。

これが、避けることができない認知症の経過です。この経過には、個人差があり、数年のこともあれば、十数年ということもあります。一般に、早くから認知症になった方の進行はゆるやかで、高齢になってからの発病では、1−2年で急速に進行することもあります。

しかし、患者さんのご家族には、認知症という病気が死に至る病気だとわかっていないことが多いです。

認知症の病像を理解しないと、「なぜ、認知症で死ぬのか? 病院や施設のケアが悪いから、誤嚥を起こしたのではないか?」という不信感が、強い不満につながります。

認知症の介護をするご家族には、進行する病気であるということを理解してもらい、早くから介護サービスを使って欲しいと思います。

認知症の薬は、進行遅らせる効果しかなく、治す薬はありません。介護サービスをうまく使って、患者さんの心に刺激を与え、リハビリを続けることは、薬と同じくらい大事な治療です。

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