アルコールは、胃や小腸から吸収され、血液のなかに入り、全身を循環します。脳に到達したアルコールは、神経を麻痺させ、いわゆる「酔っ払った」状態になります。
短時間に大量のアルコールを飲むと、意識がもうろうとなり、嘔吐物で窒息したり、呼吸が浅くなり、最悪の場合、死亡することがあります。これを、急性アルコール中毒といいます。
アルコールにも致死量があり、それを超えると死亡します。だから、アルコール中毒と呼ばれるのです。急性アルコール中毒で救急車で病院に担ぎ込まれる人の半数が、20歳代です。今でも、年間に数名の若い命が、急性アルコール中毒で失われます。
急性アルコール中毒によって死亡する原因は、血中アルコール濃度が高くなって呼吸・循環が抑制される場合と、吐物で窒息する場合があります。
飲酒による人権侵害のことを、アルコール・ハラスメント(アルハラ)といいます。上司が部下に飲酒を強要したり、場を盛り上げるためといって無理にイッキ飲みをさせることは、アルハラになります。飲めない人に酒をすすめたり、酒を言い訳にした迷惑行為も、アルハラです。
飲酒を強要して急性アルコール中毒で相手を死亡させると、傷害致死罪。飲酒をあおって急性アルコール中毒にさせると、現場助勢罪。泥酔者を放置したときは保護責任者遺棄罪、放置して死亡させたときは遺棄等致死傷が適用され、刑事罰に処せられます。
アルコール血中濃度と酔いの状態
血中濃度(%) | 酒量 | 酔いの状態 | 脳への影響 | |
爽快期 | 0.02-0.04 |
ビール中びん(〜1本) 日本酒(〜1合) ウイスキーシングル(〜2杯) |
さわやかな気分になる 皮膚が赤くなる 陽気になる 判断力が少しにぶる |
大脳皮質の活動が低下する
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ほろ酔い期 | 0.05-0.10 |
ビール中びん(1〜2本) 日本酒(1〜2合) ウイスキーシングル(3杯) |
ほろ酔い気分になる 手の動きが活発になる 抑制がとれる(理性が失われる) 体温が上がる 脈が速くなる |
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酩酊初期 | 0.11-0.15 |
ビール中びん(3本) 日本酒(3合) ウイスキーダブル(3杯) |
気が大きくなる 大声でがなりたてる 怒りっぽくなる 立てばふらつく |
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酩酊期 | 0.16-0.30 |
ビール中びん(4〜6本) 日本酒(4〜6合) ウイスキーダブル(5杯) |
千鳥足になる 何度も同じことをしゃべる 呼吸が速くなる 吐き気。嘔吐がおこる |
小脳まで麻痺が広がる |
泥酔期 | 0.31-0.40 |
ビール中びん(7〜10本) 日本酒(7合〜1升) ウイスキーボトル(1本) |
まともに立てない 意識がはっきりしない 言語がむちゃくちゃになる |
海馬(記憶中枢)が麻痺する |
昏睡期 | 0.41-0.50 |
ビール中びん(10本超) 日本酒(1升超) ウイスキーボトル(1本超) |
ゆり動かして起きない 大小便はたれ流しになる 呼吸はゆっくりと深い 死亡 |
延髄(呼吸中枢)が麻痺すると、死にいたる
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アルコール健康医学協会HPより一部改変
急性アルコール中毒への対処法
- 意識がない場合(反応がない)は救急車を要請する
- 嘔吐物がつまらないように、横向きに寝かせて、回復体位をとらせる
- 一人にせず、誰かがつきそう
- 嘔吐が起きたときは、口の中から吐物をかきだして、のどにつまらせないようにする
- 体温が下がらないように、毛布や上着などをかける
<参考>
厚生労働省 e-ヘルスネット(2020/5/29閲覧)
アルコール健康医学協会HP(2020/5/29閲覧)
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