新型コロナウイルスワクチン いまわかっていること

ワクチン

2月下旬から国立病院、JCHO、労災病院の医療従事者(1-2万人)に先行接種が行われます。ここで副反応等の結果が集計された後、3月からすべての医療従事者(370万人)、さらに4月から65歳以上の高齢者(3600万人)に優先接種が始まる予定です。ワクチンの予約、配送、接種状況などは、V-SYSというシステムによって集中管理されます。

最初に投与予定のファイザー製ワクチンは、3週間の間隔で2回投与が必要です。ワクチンの確保状況によっては、2回目のワクチン投与は遅くなる可能性があります。ワクチンは、−70℃の超低温冷凍庫に保管され、接種先の医療機関で解凍して使用します。1バイアルは5-6人分、冷蔵保存で5日間の保存が可能です。いったん解凍したバイアルは、再凍結することはできません。

今回、医療従事者に投与予定の新型コロナワクチンは、ファイザー製のmRNAワクチンです。このワクチンは、ウイルス表面のタンパク質の遺伝情報であるmRNAを投与することによって、人の体内の細胞でタンパク質が作られ、そのタンパク質に対する抗体が作られます。投与されたmRNAは自然に分解され、ヒトの体の遺伝子には組み込まれません。

ある病原体に対して、人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者が出ても、他の人に感染しにくくなることで、感染症が流行しなくなり、間接的に免疫を持たない人も感染から守られます。この状態を集団免疫といいます。新型コロナワクチンは、この集団免疫の達成を目指して接種を行います。

新型コロナワクチンの接種スケジュール

新型コロナワクチンの接種スケジュール
新型コロナワクチンの接種スケジュール

ファイザー製の新型コロナワクチンが、2021年2月14日、医薬品として正式に承認されました。商品名は「コミナティ」。薬剤の取扱説明書である「添付文書」から「副反応」についてまとめました。

臨床試験では、コミナティ接種後に、軽度から中等度の注射部位の痛み・腫れ、疲労感、筋肉痛、悪寒(さむけ)、関節痛、下痢、発熱などが報告されています。それぞれの副反応の頻度を以下に示しました。

  • 注射部位疼痛 84.3%
  • 疲労 62.9%
  • 頭痛 55.1%
  • 筋肉痛 37.9%
  • 悪寒 32.9%
  • 関節痛 23.7%
  • 発熱 14.8%
  • 米国では、2020年12月14日〜23日の間に、1,893,360回の1回目接種後に21例のアナフィラキシーが報告されました(100万回あたり11.1例)。この71%はワクチン接種から15分以内に発生しています。

新型コロナワクチンの副反応

新型コロナワクチンを接種する上で心配されるのが、副反応の問題です。副反応がまったくないワクチンは存在しないのですが、新型コロナワクチンは構造がまったく新規のものですから、長期的な安全性は今後の検討になります。

新型コロナワクチンは、21-28日の間隔をおいて、2回の筋肉内注射を行います。これまでの報告では疼痛がかなりの頻度でみられます。また、38℃以上の発熱が2回目の接種後にでています。もっとも重症の副反応であるアナフィラキシーがまれな頻度(100万回あたり5例)で報告されています。ワクチン接種後少なくとも15-30分間は、アナフィラキシーなどの急性の副反応を観察するために待機が必要です。

アナフィラキシーは、薬や食物が身体に入ってから、短時間で起きるアレルギー反応です。じんま疹などの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状が急におこります。血圧の低下を伴い意識レベルの低下(呼びかけに反応しない)や脱力を来すような場合をアナフィラキシーショックと呼びます。アナフィラキシーの症状がみられれば、まず、アドレナリン(エピネフリン)の注射を行います。そのほか、症状に応じて、気管支拡張薬等の吸入や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬の点滴や内服などを行います。

米国では、他のワクチンや食べ物に対して、重いアレルギーのある方も、新型コロナワクチンの接種が可能としています。 一方、過去に新型コロナワクチンに対して、アナフィラキシーなど重いアレルギー反応を起こした方や、同ワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)やポリソルベートに対して重いアレルギー反応を起こしたことがある方への接種は推奨していません。 

ちなみに、ポリエチレングリコールは、一般に、大腸検査の下剤や薬剤などを溶かす際に用いられます。また、ポリソルベートは、乳化剤として、様々な食品に用いられています。

もし、新型コロナワクチンの副反応によって治療が必要になったり、障害が残ったりした場合に、国の補償(医療費・障害年金等の給付)が受けられます。

おもな新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの開発状況です。海外では、ワクチンの開発、接種が先行しています。

COVID-19ワクチンの開発状況:日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言(第2版)」より引用

一般的にワクチンの有効性を評価するには、3つの方法があります。

  1. 免疫原性:ワクチンを接種した人(被接種者)にできた抗体が感染を防ぐレベルに達した人の割合
  2. 臨床試験での有効率:ワクチンを接種した人としなかった人の病気の発生率を比較する
  3. 実社会での有効率:ワクチンの接種が普及したときに、感染症が実際にどのくらい減少したかを検証する

COVID-19ワクチンは、実社会での有効率はまだ先のことになりますから、免疫を誘導できるか(免疫原性)、臨床試験での有効率がどれほどかで評価されることになります。

ワクチンの有効率が90%とは、「ワクチンを接種した人の90%が病気にかからない」という意味ではありません。ワクチンを接種した人の病気になる発症率が、接種しなかった人の発症率より90%少なかった」ということです。

表にCOVID-19ワクチンの臨床試験の結果を引用しました。この表の「発症者数/接種者数」をみると、有効率という意味がわかります。インフルエンザワクチンの65歳未満の成人の有効率が52.9%と報告されていますから、COVID-19ワクチンの有効率はかなり高いといえるでしょう。

COVID-19ワクチン臨床試験における有効率:日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言(第2版)」より引用

このデータは海外での臨床試験の結果で、日本人のデータではありません。また、ワクチンの効果がどれくらい続くかもわかっていません。

この新しいCOVID-19ワクチンを接種する上で心配されるのが、副反応(副作用)の問題です。副反応がまったくないワクチンは存在しないのですが、COVID-19ワクチンは構造がまったく新規のものですから、長期的な安全性については今後の検討になります。

COVID-19ワクチンは、21-28日の間隔をおいて、2回の筋肉内注射を行います。これまでの報告では、mRNAを使うワクチンで、疼痛がかなりの頻度でみられ、日常生活に支障のでる疼痛も報告されています。また、38℃以上の発熱が2回目の接種後にでています。

COVID-19ワクチンの臨床試験における1回目接種後の有害事象の頻度:日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言(第2版)」より引用
COVID-19ワクチンの臨床試験における2回目接種後の有害事象の頻度:日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言(第2版)」より引用

また、今のところ報告はありませんが、ワクチンを接種した人が感染したときに、接種していない人より症状がひどくなる「ワクチン関連疾患増悪(VAED)」という現象も他のワクチンで報告されていますので、今後、注意が必要です。

mRNAワクチンは分解されやすいため保管にはマイナス60-80℃の冷凍庫が必要で、これまでのワクチンにはない品質管理が必要です。なお、アストラゼネカのワクチンはこれまでのワクチンと同様に冷蔵保管です。

<参考>
厚生労働省「新型コロナワクチンについて」
厚生労働省「コロナワクチンナビ」
首相官邸「新型コロナワクチンについて」
厚生労働省「新型コロナワクチン接種のお知らせ」(2021年4月5日)
日本アレルギー学会「新型コロナウイルスワクチン接種にともなう重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療」(2021年3月12日)
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き (2.0版) 」(2021年2月24日 改訂)
日本感染症学会「COVID-19 ワクチンに関する提言(第2版)」(2021年2月26日)国立感染症研究所 「新型コロナワクチンについて 第1版 」(2021年2月12日)

ノート

コロナでよくでる用語集

2021年1月19日
コロナウイルス

新型コロナウイルス感染症 いまわかっていること できること

2020年12月24日
鼻腔検査

指定感染症とは、感染症の分類

2020年8月27日

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