新型コロナウイルスワクチン いまわかっていること

ワクチン

新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について

ファイザー社、武田/モデルナ社の新型コロナワクチン接種後に、ごくまれに、心筋炎・心膜炎を発症した事例が報告されています。とくに10代・20代の男性の2回目の接種後4日ほどの間に多い傾向があります。ワクチン接種後に胸の痛み、動悸、息切れ、むくみなどの症状がみられた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

厚生労働省「新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について(10代・20代の男性と保護者の方へのお知らせ)」(2021年10月15日) から詳細をご覧ください。

2021年2月下旬から国立病院等の医療従事者に先行接種が行われ、高齢者、基礎疾患を有する方へ、その後、一般の方へと接種が進んでいます。また、企業や大学等の職域単位での接種も行われています。2021年9月3日時点で、1回以上接種率は58.0%、2回接種完了率は47.1%で、高齢者については87.1%が2回接種を完了しています。

ある病原体に対して、人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者が出ても、他の人に感染しにくくなることで、感染症が流行しなくなり、間接的に免疫を持たない人も感染から守られます。この状態を集団免疫といいます。新型コロナワクチンは、この集団免疫の達成を目指して接種を行います。

最初に投与が始まったファイザー製ワクチンは、3週間の間隔で2回投与が必要です。ワクチンは、−70℃の超低温冷凍庫に保管され、接種会場で解凍して使用します。1バイアルは5-6人分、冷蔵保存で5日間の保存が可能です。いったん解凍したバイアルは、再凍結することはできません。

現在、日本で承認されているのは、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ社のワクチンです。ファイザーとモデルナのワクチンは、mRNAワクチンです。このワクチンは、ウイルス表面のタンパク質の遺伝情報であるmRNAを投与することによって、人の体内の細胞でタンパク質が作られ、そのタンパク質に対する抗体が作られます。投与されたmRNAは自然に分解され、ヒトの体の遺伝子には組み込まれません。

一方、アストラゼネカのワクチンは、ウイルスベクターワクチンです。これは、アデノウイルスなどに遺伝子を組み込み、ヒトの細胞内で目的のタンパク質が合成される仕組みです。ウイルスは遺伝子の運び屋として使われるだけで、病気をおこすことはありません。

日本で使用中のワクチン

開発企業ファイザーモデルナアストラゼネカ
ワクチンの種類mRNAmRNAウイルスベクター
接種回数2回2回2回
接種間隔18日以上の間隔をおいて、標準的には20日の間隔をおいて20日以上の間隔をおいて、標準的には27日の間隔をおいて27日以上の間隔をおいて、標準的には27日から83日までの間隔をおいて、最大の効果を得るためには55日以上の間隔をおいて接種することが望ましい
接種方法筋肉内注射筋肉内注射筋肉内注射
接種対象12歳以上12歳以上原則40歳以上、18歳未満には使用しない
保存2-8℃で30日、当日6時間以内に使用2-8℃で30日、当日6時間以内に使用2-8℃で6ヶ月、当日6時間以内に使用

新型コロナワクチンの副反応

新型コロナワクチンを接種する上で心配されるのが、副反応の問題です。副反応がまったくないワクチンは存在しないのですが、新型コロナワクチンは構造がまったく新規のものですから、長期的な安全性は今後の検討になります。

新型コロナワクチンは、21-28日の間隔をおいて、2回の筋肉内注射を行います。これまでの報告では疼痛がかなりの頻度でみられます。また、38℃以上の発熱が2回目の接種後にでています。もっとも重症の副反応であるアナフィラキシーがまれな頻度(100万回あたり5例)で報告されています。ワクチン接種後少なくとも15-30分間は、アナフィラキシーなどの急性の副反応を観察するために待機が必要です。

アナフィラキシーは、薬や食物が身体に入ってから、短時間で起きるアレルギー反応です。じんま疹などの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状が急におこります。血圧の低下を伴い意識レベルの低下(呼びかけに反応しない)や脱力を来すような場合をアナフィラキシーショックと呼びます。アナフィラキシーの症状がみられれば、まず、アドレナリン(エピネフリン)の注射を行います。そのほか、症状に応じて、気管支拡張薬等の吸入や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬の点滴や内服などを行います。

米国では、他のワクチンや食べ物に対して、重いアレルギーのある方も、新型コロナワクチンの接種が可能としています。 一方、過去に新型コロナワクチンに対して、アナフィラキシーなど重いアレルギー反応を起こした方や、同ワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)やポリソルベートに対して重いアレルギー反応を起こしたことがある方への接種は推奨していません。 

ちなみに、ポリエチレングリコールは、一般に、大腸検査の下剤や薬剤などを溶かす際に用いられます。また、ポリソルベートは、乳化剤として、様々な食品に用いられています。

もし、新型コロナワクチンの副反応によって治療が必要になったり、障害が残ったりした場合に、国の補償(医療費・障害年金等の給付)が受けられます。

新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について

ファイザー社、武田/モデルナ社の新型コロナワクチン接種後に、ごくまれに、心筋炎・心膜炎を発症した事例が報告されています。とくに10代・20代の男性の2回目の接種後4日ほどの間に多い傾向があります。ワクチン接種後に胸の痛み、動悸、息切れ、むくみなどの症状がみられた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

厚生労働省「新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について(10代・20代の男性と保護者の方へのお知らせ)」(2021年10月15日) から詳細をご覧ください。

ワクチンの追加接種について

  • 追加接種が必要となるときは、2つのケースが考えられます
    1. ワクチン接種で、十分な免疫ができていない
      • がん・血液の病気・HIV感染症などで免疫が低下している状態、大量のステロイドなどの免疫抑制剤で治療中の方などがあてはまります
    2. ワクチンの接種後に時間の経過とともに、免疫が低下してくる
      • ワクチン接種で免疫ができた方も、徐々にワクチンの効果は低下していきますが、とくに変異型ウイルスに対する有効性の低下が問題になっています

おもな新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの開発状況です

現時点での国内外のおもなワクチンを表1に示します。海外で、mRNA ワクチンやウイルスベクターワクチンの開発が先行し、日本ではファイザー、モデルナ、アストラゼネカ各社のワクチンが承認されています。日本でも従来の不活化ワクチンや組換えタンパク質ワクチンを含めてさまざまな方法による独自のワクチン開発が行われれ、すでに臨床試験が開始されたものもみられます。

COVID-19ワクチンの開発状況:日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言(第3版)」より引用

一般的にワクチンの有効性を評価するには、3つの方法があります。

  1. 免疫原性:ワクチンを接種した人(被接種者)にできた抗体が感染を防ぐレベルに達した人の割合
  2. 臨床試験での有効率:ワクチンを接種した人としなかった人の病気の発生率を比較する
  3. 実社会での有効率:ワクチンの接種が普及したときに、感染症が実際にどのくらい減少したかを検証する

COVID-19ワクチンは、実社会での有効率はまだ先のことになりますから、免疫を誘導できるか(免疫原性)、臨床試験での有効率がどれほどかで評価されることになります。ワクチンの有効率が90%とは、「ワクチンを接種した人の90%が病気にかからない」という意味ではありません。ワクチンを接種した人の病気になる発症率が、接種しなかった人の発症率より90%少なかった」ということです。

ワクチンの副反応について

COVID-19ワクチンを接種する上で心配されるのが、副反応(副作用)の問題です。副反応がまったくないワクチンは存在しないのですが、COVID-19ワクチンは構造がまったく新規のものですから、長期的な安全性については今後の検討になります。日本での臨床試験における有害事象を下表に示しました。

日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言(第3版)」より引用
日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言(第3版)」より引用
日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言(第3版)」より引用

また、今のところ報告はありませんが、ワクチンを接種した人が感染したときに、接種していない人より症状がひどくなる「ワクチン関連疾患増悪(VAED)」という現象も他のワクチンで報告されていますので、今後、注意が必要です。また、その他の副反応として、ファイザーのワクチンでは「心筋炎」が、アストラゼネカのワクチンでは「血栓症」が報告されています。

mRNAワクチンは分解されやすいため保管にはマイナス60-80℃の冷凍庫が必要で、これまでのワクチンにはない品質管理が必要です。なお、アストラゼネカのワクチンはこれまでのワクチンと同様に冷蔵保管です。

妊婦のワクチン接種について

新型コロナワクチン(メッセンジャーRNA)ワクチンは、すでの多くの妊婦に接種している海外の報告では、妊娠初期を含め、妊婦さんとおなかの赤ちゃんの双方を守ることがわかっています。また、お母さんや赤ちゃんに重い合併症が起きたという報告はありません。日本においても、希望する妊婦さんにワクチンを接種することができます。妊婦健診を定期的に受け、かかりつけ医と相談して接種を決めてください。

妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、妊娠後期ではわずかですが重症化しやすいという報告があります。とくに感染の多い地域や、感染リスクの高い医療従事者、糖尿病・高血圧・気管支喘息などの基礎疾患のある方は、接種をおすすめします。あらかじめ、妊婦健診先の先生に接種の相談をしておきましょう。接種してよいと言われたら、そのように接種会場の問診の先生に伝えてください。

妊産婦の方へ、新型コロナワクチン(mRNAワクチン)のQ&A 

妊産婦さんへの新型コロナワクチン(mRNAワクチン)について、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会の3学会が合同でお知らせをホームページに掲載しています。一部わかりにくい表現を改め、ご紹介します。

  1. 新型コロナワクチンで不妊になることはありますか?これから妊娠を考えているのですが、mRNAワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?
    • 新型コロナワクチン(mRNAワクチン)で不妊になるという科学的根拠は全くありません。
  2. 妊娠中の女性はmRNAワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?
    • 妊娠中の女性でもmRNAワクチンを接種して大丈夫です。すでに多くの接種経験のある海外の情報では、妊娠初期を含め妊婦さんとおなかの赤ちゃん双方を守るとされています。また、お母さんや赤ちゃんに流産などの何らかの重篤な合併症が発生した報告もありません。
  3. 不妊治療中ですが新型コロナワクチンを接種できますか?
    • 不妊治療中の方も接種できます。接種後は発熱などの副反応がでることがあるので、できれば妊娠前の接種をおすすめします。
  4. 妊娠のいつの時期に接種したほうがいいでしょうか?
    • いつの時期でも接種可能です。心配な方は器官形成期(妊娠12週まで)を避けることをおすすめしますが、現時点で新型コロナワクチンによる催奇形性(胎児に奇形が起きること)の報告はありません。主治医とご相談の上、お決めください。
  5. 妊娠中に新型コロナワクチンを接種して、熱がでたらどうしたらいいですか?
    • アセトアミノフェン(カロナールなど)は服用して構いません。その他の解熱鎮痛剤については、妊娠中に使用しないほうがよいものもあるので、主治医にご相談ください。
  6. 出産等でmRNAワクチンの接種間隔が延びてしまいそうです。大丈夫でしょうか?
    • 接種間隔が延びても問題ありません。接種が可能になったら、なるべく早く2回目の接種を受けてください。
  7. 妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの合併症がある場合でも、接種して大丈夫でしょうか?
    • 事前に産婦人科の主治医にご相談ください。一般的に合併症があると重症化するリスクが高くなるので、可能であれば接種したほうがよいでしょう。
  8. 妊娠中にmRNAワクチンを接種すると、赤ちゃんに免疫が移行しますが?
    • 抗体が胎盤を通って、赤ちゃんに移行するので、産後に赤ちゃんを感染から守る効果が期待できます。
  9. 授乳中の女性はmRNAワクチンを接種できますか?ワクチンを接種したらミルク(人工乳)に変更した方がよいですか?母乳から赤ちゃんに免疫が移行しますか?
    • 接種できます。mRNAワクチンを接種してもミルクに変更する必要はありません。mRNAワクチンは母乳中に分泌されませんが。抗体が母乳中に分泌されるので、赤ちゃんを感染から守る効果が期待できます。
  10. mRNAワクチンが女性の健康に長期的な影響を与える可能性はありますか?
    • 投与されたmRNAは短時間で分解され、ヒトの遺伝子に入り込むことはないので、長期的な影響はないと考えています。
  11. 生理中にmRNAワクチンを接種してもいいでしょうか?
    • 問題ありません。生理痛で痛み止めの薬を飲んでいる方は、飲み過ぎにならないように気をつけてください。
  12. mRNAワクチンで月経不順や経血量が増えることはありませんか?
    • mRNAワクチンが直接、月経(生理)に影響を与えることはありません。
  13. 経口避妊薬を飲んでいてもmRNAワクチンを打つことはできますか?
    • できます。mRNAワクチンで血栓ができるという報告はありません。
  14. 新型コロナワクチン接種者に近寄ると感染すると聞きました。本当ですか?
    • 本当ではありません。ワクチンによって、ウイルス全体のごく一部のタンパク質作られるだけで、感染力のあるウイルスが作られることはありません。
  15. 新型コロナワクチンの成分や接種後にできる抗体が胎盤を攻撃すると聞きました。本当ですか?
    • 本当ではありません。新型コロナワクチンの成分や接種後の抗体が胎盤を攻撃することはありません。

子どものワクチン接種について

子どもを新型コロナウイルス感染から守るためには、周囲の成人への新型コロナワクチンの接種が必要です。とくに、医療的なケアが必要な子ども、重い基礎疾患のある子どもに関わる方へのワクチン接種が重要です。

神経疾患や慢性呼吸器疾患、免疫不全症をもつ子どもにはワクチン接種の効果が期待されます。しかし、子どもは接種後の副反応が強くでることがありますので、接種後の体調管理などを主治医とよく相談して接種を決めてください。

健康な子どもは新型コロナウイルスに感染しても軽症であることがほとんどですが、周囲に感染を広げる可能性はあります。12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種の意義はあると考えられます。しかし、子どもはワクチン接種後の副反応が比較的高いため、接種前に本人と親に十分な説明を行い、強制的に行われることがないような配慮が必要です。

<参考>

胸痛

心筋炎・心膜炎

2021年10月21日
ノート

コロナでよくでる用語集

2021年1月19日
妊婦

妊娠と新型コロナウイルス

2021年1月6日
コロナウイルス

新型コロナウイルス感染症 いまわかっていること できること

2020年12月24日
鼻腔検査

指定感染症とは、感染症の分類

2020年8月27日

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