おもな新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの開発状況です。欧米ではすでに薬として承認され、接種が開始されているものもあります。

一般的にワクチンの有効性を評価するには、3つの方法があります。
- 免疫原性:ワクチンを接種した人(被接種者)にできた抗体が感染を防ぐレベルに達した人の割合
- 臨床試験での有効率:ワクチンを接種した人としなかった人の病気の発生率を比較する
- 実社会での有効率:ワクチンの接種が普及したときに、感染症が実際にどのくらい減少したかを検証する
COVID-19ワクチンは、実社会での有効率はまだ先のことになりますから、免疫を誘導できるか(免疫原性)、臨床試験での有効率がどれほどかで評価されることになります。
ワクチンの有効率が90%とは、「ワクチンを接種した人の90%が病気にかからない」という意味ではありません。ワクチンを接種した人の病気になる発症率が、接種しなかった人の発症率より90%少なかった」ということです。
表にCOVID-19ワクチンの臨床試験の結果を引用しました。この表の「発症者数/接種者数」をみると、有効率という意味がわかります。インフルエンザワクチンの65歳未満の成人の有効率が52.9%と報告されていますから、COVID-19ワクチンの有効率はかなり高いといえるでしょう。

このデータは海外での臨床試験の結果で、日本人のデータではありません。また、ワクチンの効果がどれくらい続くかもわかっていません。
この新しいCOVID-19ワクチンを接種する上で心配されるのが、副反応(副作用)の問題です。副反応がまったくないワクチンは存在しないのですが、COVID-19ワクチンは構造がまったく新規のもので、長期的な安全性はわからないとしかいえません。
COVID-19ワクチンは、21-28日の間隔をおいて、2回の筋肉内注射を行います。これまでの報告では、mRNAを使うワクチンで、疼痛がかなりの頻度でみられ、日常生活に支障のでる疼痛も報告されています。また、38℃以上の発熱が2回目の接種後にでています。


また、今のところ報告はありませんが、ワクチンを接種した人が感染したときに、接種していない人より症状がひどくなる「ワクチン関連疾患増悪(VAED)」という現象も他のワクチンで報告されていますので、今後、注意が必要です。
mRNAワクチンは分解されやすいため保管にはマイナス60-80℃の冷凍庫が必要で、これまでのワクチンにはない品質管理が必要です。なお、アストラゼネカのワクチンはこれまでのワクチンと同様に冷蔵保管です。
<参考>
日本感染症学会「COVID-19 ワクチンに関する提言(第1版)」(2020年12月28日)
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