新型コロナウイルス感染症 いまわかっていること できること

コロナウイルス

新型コロナの対応は、5月8日から、こう変わる

新型コロナウイルス感染症対策本部「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更等に関する対応方針について」(令和5年1月27日)より抜粋して引用

  1. 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけ
    • 令和5年5月8日から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、感染症法上の新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとし、5類感染症に位置づける
  2. 感染症法上の位置づけの変更に伴う政策・措置の見直し
    1. 患者等への対応
      • 急激な負担増が生じないよう、入院・外来の医療費の自己負担分に係る一定の公費支援について、期限を区切って継続
    2. 医療提供体制
      • 入院や外来の取扱いについては、原則として、インフルエンザなど他の疾病と同様となることから、幅広い医療機関で新型コロナウイルス感染症の患者が受診できる医療体制に向けて、段階的に移行
      • 外来については、位置づけの変更により、幅広い医療機関が新型コロナウイルス感染症の患者の診療に対応する体制へと段階的に移行。
      • 入院については、入院措置・勧告が適用されない。幅広い医療機関が新型コロナウイルス感染症の入院患者を受入れ、入院調整も行政が関与するものから個々の医療機関の間で調整する体制へと段階的に移行
      • 外来や入院に関する診療報酬上の特例措置や病床確保料の取扱い、重症者等に対する入院調整のあり方、高齢者施設等への検査・医療支援など各種対策・措置の段階的見直しについては検討・調整
    3. サーベイランス
      • 感染症法に基づく発生届は終了し、定点医療機関による感染動向把握に移行
      • ゲノムサーベイランスは継続
    4. 基本的な感染対策
      • マスクについては、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねる
      • 引き続き、効果的な換気や手洗いなどの手指衛生の励行をお願いする
      • 医療機関や高齢者施設でのクラスター防止対策は継続しつつ、できる限り面会の希望が実現できるよう取組みをお願いしていく
    5. ワクチン
      • 必要な接種については、引き続き自己負担なく受けられるようにする
    6. 水際措置
      • 5類感染症に位置づけられることに伴い、「検疫感染症」から外れる
  3. 新型コロナウイルス感染症対策本部等の廃止
    • 新型コロナウイルス感染症対策本部は廃止。また、都道府県対策本部についても廃止
  4. 特措法に基づく措置の終了
    • 5類感染症に位置づけられることに伴い、特措法に基づく感染者や濃厚接触者への外出自粛要請や入院措置は終了。 都道府県が住民に対して行っている一般検査事業は終了。設置された臨時の医療施設の取扱いについては検討。

インフルエンザの流行が続いています

最新インフルエンザ定点報告:厚生労働省 2023年第4週(1/23-1/29)

  定点当たり報告数(第4週) 前週
全国 10.36 9.59
北海道 8.89 8.19
青森県 10.47 8.02
岩手県 1.63 1.08
宮城県 3.69 2.33
秋田県 4.25 2.61
山形県 3.52 2.3
福島県 4.11 4.4
茨城県 4.88 5.58
栃木県 5.95 5.7
群馬県 4.14 4.71
埼玉県 7.05 7.09
千葉県 7.54 8.53
東京都 9.15 8.5
神奈川県 9.88 8.86
新潟県 6.09 5.44
富山県 11.31 8.33
石川県 17.52 13.69
福井県 25.38 12.14
山梨県 1.32 1.85
長野県 3.89 5.57
岐阜県 4.26 3.41
静岡県 3.01 4.56
愛知県 7.48 7.96
三重県 8.29 8.8
滋賀県 9.65 7.52
京都府 20.24 15.31
大阪府 24.34 20.46
兵庫県 14.02 12.13
奈良県 13.93 10.87
和歌山県 11.51 10.61
鳥取県 2.28 3.86
島根県 4.5 4.26
岡山県 6.13 5.83
広島県 8.78 8.19
山口県 4.14 4.2
徳島県 5.49 6.16
香川県 9.02 9.45
愛媛県 8.92 8.92
高知県 10.04 8.58
福岡県 21.7 20.59
佐賀県 12.54 16.92
長崎県 12.26 14.8
熊本県 9.08 8.75
大分県 11.9 10.4
宮崎県 16.47 17.59
鹿児島県 8.28 9.72
沖縄県 41.23 38.77

定点当たり報告数は、全国平均で10.36となり、インフルエンザの流行が続いています。黄色は注意報、ピンクは警報レベルです。都道府県別でとくに近畿、九州の大半が注意報レベル、沖縄県では警報レベルの流行になっています。

*日本全体でインフルエンザ患者数を報告する医療機関が約5,000ヶ所、定点医療機関として指定されています。定点あたりの報告数とは、1つの医療機関が1週間で何人のインフルエンザ患者を診療したかを表す数字です。この数字が、1 以上ならその地域は流行域に入ったことになり、10以上なら注意報、30以上なら警報となります。日本では2020年3月以降、定点あたり0.10を超える報告数はありませんでした。

直近の感染状況(第115回 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード, 2023年1月25日)

  • 全国の新規感染者数は、直近の1週間で10万人あたり約445人、今週先週比は0.59と減少傾向が継続
  • 病床使用率は全国的に低下傾向、死亡者数や救急搬送困難事案数も高い水準が続いているが減少傾向にあり
  • 東海、中四国、九州などはは全国平均を上回るが減少傾向
  • 新規感染者数のうち80代以上の高齢者の占める割合の増加は継続
  • 季節性インフルエンザは全国的に直近2年間より高い水準。定点あたりの週間報告数は沖縄では30を超え警報レベル、その他7府県で10を超え注意報レベルにあり、全国的に増加傾向
  • 国内では現在オミクロン株BA.5系統が主流。米国を中心に報告されているXBB.1.5はより感染性が強く、海外で感染者が増加。BQ.1系統の割合が国内で増加しつつあり、BA.2.75系統の亜系統であるBN.1.2、BN.1.3系統も国内で増加。
感染者数=直近1週間の人口10万人あたりの人数

オミクロン変異株の現状

  • 2022年12月2日-2023年1月2日に、世界で登録されたウイルスの98.4%をオミクロンが占め、その他の系統はほとんど検出されていない。オミクロンの中では多くの亜系統が発生しているが、BA.5系統が63.7%、BA.2系統が15.2%、 BA.4系統が0.7%と、世界的にBA.5系統が流行の主流。日本国内でも2022年7月頃にBA.2系統からBA.5系統に置き換わりが進み、BA.5系統が主流となったが、10月以降BQ.1系統(BA.5.3系統の亜系統)およびBA.2.75系統の占める割合が上昇傾向にある。
  • 世界各地でBA.2系統やBA.5系統を起源とする、感染力が強い亜系統が多数発生している。米国ではXBB.1.5系統、欧州ではBQ.1系統・CH.1.1系統(BA.2.75.3系統の亜系統)・XBB.1.5系統、アジアではBQ.1系統・XBB系統、オセアニアではBQ.1.1系統・CH.1.1系統が増加傾向。この中で、XBB系統が最も感染力が強いという報告がある。
  • 2022年11月以降、中国で急速に感染が拡大し、1月下旬の春節に向けて、さらに増加する危険性がある。中国ではBA.5.2系統・BF.7系統が主流だが、いずれも日本国内でも検出されている系統。

<参考> 国立感染症研究所「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について(第24報)」(2023年1月13日)

いまわかっている11のこと

  1. 日本では、これまでにどれくらいの人が新型コロナウイルス感染症と診断されていますか。
  2. 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人や死亡する人はどれくらいですか。
    • 重症化する人や死亡する人の割合は高齢者で高い傾向にあります。
    • 重症化する割合や死亡する割合は以前と比べて低下、オミクロン株が流行の主体となっている2022年7月から8月では、
      • 重症化した人の割合は 50歳代以下で0.01%、60・70歳代で0.26%、80歳代以上で1.86%
      • 死亡した人の割合は50歳代以下で0.00%、60・70歳代で0.18%、80歳代以上で1.69%
  3. 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化しやすいのはどんな人ですか。
    • 重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患のある方、一部の妊娠後期の方です。
      • 基礎疾患:慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満、喫煙など
    • ワクチン接種を受けることで、重症化予防効果が期待できます。
    • 30歳代と比較した各年代の重症化率は、50歳代で10倍、60歳代で25倍、70歳代で47倍、80歳代で71倍、90歳以上で78倍に上昇します。
  4. 海外と比べて、日本で新型コロナウイルス感染症と診断されている人の数は多いのですか。
    • 2023年1月8日時点での日本の人口当たりの感染者数は主要国を上回っています。
  5. 新型コロナウイルスに感染した人が、他の人に感染させてしまう可能性がある期間はいつまでですか。
    • 症状のでる2日前から、症状がでて7-10日間程度です。とくに、症状がでる直前・直後でウイルス排出量が高くなると考えられています。このため、症状がなくとも、不要・不急の外出を控えるなど感染防止に努める必要があります。
  6. 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、どれくらいの人が他の人に感染させていますか。
    • 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、他の人に感染させているのは2割以下です。 このため、1人の感染者が何人もの人に感染させてしまうことがなければ、流行を抑えることが可能です。不要・不急の外出を控えることや、人と接するときにはマスクを着用することなど、多くの人に感染させることのないように行動することが大切です。
  7. 新型コロナウイルス感染症を拡げないためには、どのような場面に注意する必要がありますか。
    • 飲酒を伴う懇親会など大人数や長時間におよぶ飲食、マスクなしでの会話、狭い空間での共同生活、仕事場から休憩室などへの居場所の切り替わりといった場面で感染が起きやすくなります。
    • 3密(密閉・密集・密接)や混雑、大声を出すような場面などで感染リスクが高くなります。
  8. 新型コロナウイルス感染症を診断するための検査にはどのようなものがありますか。
    • PCR検査、抗原定量検査、抗原定性検査等があり、体内にウイルスが存在し、ウイルスに感染しているかを調べるための検査です。なお、抗体検査は、過去に新型コロナウイルス感染症にかかったことがあるかを調べるものです。
  9. 新型コロナウイルス感染症はどのようにして治療するのですか。
    • 軽症の場合は経過観察のみで自然に軽快することが多く、必要な場合に解熱薬などの対症療法を行います。
    • 重症化リスクのある方は、中和抗体薬や経口の抗ウイルス薬で重症化を予防します。
    • 呼吸不全を伴う場合には、酸素投与や抗ウイルス薬、ステロイド薬 (炎症を抑える薬)、免疫調整薬の投与を行い、改善しない場合には人工呼吸器等による集中治療を行うことがあります。
  10. 現在、日本で接種できる新型コロナワクチンはどのようなワクチンですか。どのように接種が進みますか。
    • ファイザー社ワクチン
      • 12歳以上用、5-11歳用、生後6か月-4歳用の3種類のワクチンで初回接種を実施
      • 12歳以上用および5-11歳用のワクチンは、初回接種で2回の接種
      • 生後6か月-4歳用のワクチンは、初回接種で3回の接種
      • 初回接種(1・2回目接種)が完了した12歳以上を対象にオミクロン株対応ワクチンの追加接種を、5‐11歳には従来型の5-11歳用ワクチンで追加接種を行っています。
    • モデルナ社ワクチン
      • 12歳以上を対象に初回接種(1・2回目)
      • 初回接種を完了した12歳以上を対象にオミクロン株対応ワクチンを接種
    • ノババックス社ワクチン
      • 12歳以上を対象に初回接種
      • 初回接種を完了した18歳以上を対象に追加接種
    • ワクチンの有効性について
      • ワクチンの発症予防効果、重症化を予防する効果が確認されています。
    • ワクチンの安全性について
      • ワクチンの副反応には、注射部位の痛み、疲労感、頭痛、筋肉や関節の痛み、寒気、下痢、発熱などがありますが、いずれも数日で回復します。まれな頻度で、重症のアナフィラキシーが報告されています。
  11. 新型コロナウイルスの変異について教えてください。
    • 一般的にウイルスは増殖・流行を繰り返す中で少しずつ変異し、新型コロナウイル スも約2週間で一か所程度の速度で変異を起こしています。現在、世界的にオミクロン株のBA.5系統が主流ですが、BQ.1系統、BA2.75系統などの新しい変異株の割合が増加しつつあります。

新型コロナ感染者の葬儀、制限を見直し

これまで、新型コロナ感染で亡くなった方のご遺体の取り扱いについてかなり厳しく行われてきましたが、今回のガイドラインの改定により、通常の場合と大差なくお別れができるようになりました。ご遺体を納体袋に包み、触ることさえできなかった葬儀が大幅に変わります。

「新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン」(2023年1月6日)

  • 遺体な適切な感染対策(清拭及び鼻、肛門等への詰め物や紙おむつの使用等により体液等の漏出予防を行う等)を講ずることにより、通常の遺体と同様に取り扱うことができ、納体袋に収容する必要はなくなります
    • ただし、損傷が激しい遺体、解剖後の遺体等、体液漏出のリスクが非常に高いと想定される場合は、納体袋が必要になります
  • 感染予防策を実施する期間を満了した後(発症日から10日間経過した後)に亡くなられた場合の遺体は、通常の遺体と同様に取り扱うことができ、納体袋に収容する必要はありません
  • 新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の通夜、葬儀については、遺族等の方の意向を踏まえ、適切に感染対策を講じて、通夜、葬儀を執り行うようお願いします
  • 新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の火葬について、遺族等の方の意向を踏まえ、適切に感染対策を講じて、火葬を執り行うようお願いします
  • 適切な感染対策が実施されている場合は、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた遺体とそれ以外の遺体で火葬時間帯を分ける必要はなく、遺族等の動線分離も必要ありません
  • 新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の拾骨について、遺族等の方の意向を踏まえ、適切に感染対策を講じて、拾骨を執り行うようお願いします
  • 「適切な感染対策」とは、遺体に適切な感染対策(清拭及び鼻、肛門等への詰め物や紙おむつの使用等により体液等の漏出予防を行うこと等)を講ずること、納棺時に棺表面を清拭・消毒すること、基本的な感染対策(体調不良時のオンライン等の活用、三つの密(密閉・密集・密接の回避、人と人との距離の確保、場面に応じたマスクの着用、手洗い等の手指衛生、換気等)を徹底することなどを指します。

新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えよ

今年(2022年)冬、新型コロナとインフルエンザが同時流行する可能性があります。ピーク時には、新型コロナが1日45万人、インフルエンザが1日30万人規模で同時に流行し、あわせて1日75万人の患者が発生するという予想もあります。

2022年冬、新型コロナとインフルエンザが同時流行する可能性があります。冬は空気が冷たく乾燥し、呼吸器感染症の流行する時期です。世界的にもインフルエンザの流行が3年近くありませんでしたが、2022年6月に南半球のオーストラリアやニュージランド(南半球では冬)でコロナ以前と同等の流行があり、今シーズンの日本での流行が危惧されています。

備えよ

  1. 新型コロナ・インフルエンザの同時流行に備えて、ワクチン接種をしましょう。 新型コロナとインフルエンザワクチンは同時接種も可能です。
  2. これだけの規模の流行がおきた場合、医療機関の外来は患者であふれてしまいます。外来診療がひっ迫した場合、医療機関への受診は重症化リスクの高い人(高齢者、基礎疾患のある人、妊婦、小学生以下の小児)が優先されます。
  3. 重症化リスクが低い人は、市販の新型コロナ検査キットでセルフチェックを行ってください。検査の結果、陽性の場合は、健康フォローアップセンターに登録し、自宅療養を行います。流行が始まる前に、市販の新型コロナ検査キットを購入しておきましょう。症状が悪化した場合は、健康フォローアップセンターに連絡し、医療機関を受診した方がよいか相談してください。
  4. セルフチェックで新型コロナが陰性の場合、電話・オンライン診療に対応する医療機関や、症状が重い場合は発熱外来やかかりつけの先生に相談してください。

新型コロナ・インフルエンザの同時流行になった場合の外来診療フローチャート

日本感染症学会「この冬のCOVID-19とインフルエンザ同時流行の際の注意点」を一部改変

感染者の発生届の対象が縮小されます

2022年9月26日より、医師が新型コロナウイルス感染者の診断をした場合の発生届の対象が、これまでの全例登録から、以下のいずれかに該当する方に限定されます。

  1. 65歳以上の者
  2. 入院を要する者
  3. 重症化リスクがあり、新型コロナ治療薬の投与、または、新たに酸素投与が必要と医師が判断する者
  4. 妊婦

感染者の療養期間が短縮され、外出制限が緩和されました

厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部「新型コロナウイルス感染症の患者に対する療養期間等の見直しについて」(2022年9月7日)
  • 2022年9月7日より変更
  • 医療機関の入院患者や高齢者施設で発生した患者は、従来どおり、10日間の療養期間
  • ただし、症状があった方は10日目まで、症状がない方も7日目までは、感染リスクが残っていますので、自主的な感染予防を徹底する必要があります
    • 検温など自分の健康状態の確認を行う
    • 高齢者などハイリスク患者との接触、高齢者施設への訪問を控える
    • 感染リスクの高い場所の利用や会食等を避ける
    • マスクを着用する

<医知場の目>

下記の表は、2022年9月7日の厚生労働省の専門者会議で、国立感染症研究所の鈴木忠樹氏が提出した資料です。日毎の残存リスク(感染性ウイルス排出者の割合)は、従来の解除基準であった11日目の3.6%に対し、短縮された8日目では16.0%と、まだかなりの割合の方がウイルスを排出しています。療養期間が短縮されると、感染リスクのある方が不用意に出歩いてしまう心配が残ります。

第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年9月7日)
国立感染症研究所・鈴木忠樹氏提出資料

濃厚接触者の待機期間が短縮されました

濃厚接触者とは

  • 濃厚接触者とは、感染者に症状がでた2日前から、
    1. 感染者と同居または長時間の接触(車内、航空機内での接触を含む)
    2. 感染者と適切な感染防護なしに診察、看護、介護していた
    3. 感染者の痰や体液などの汚染物質に直接触れた可能性が高い
    4. 感染者と、手で触れることの出来る距離(目安として1m)で、必要な感染予防策なしで、15分以上の接触があった

濃厚接触者の待機期間

  • 2022年7月22日より変更
  • オミクロン株の場合の対応
  • 7日間を経過するまでは、検温など自分の健康状態の確認を行うこと
  • ただし、医療従事者、介護従事者、障がい者支援施設等の従事者は、毎日の業務前に抗原検査等で陰性を確認することで業務に従事可能

自宅待機中の過ごし方

  • 不要不急の外出は控えてください。やむを得ず外出する際は、マスクの着用や手指衛生などの感染対策を行い、必要最小限で済ませてください。
  • 通勤や通学もお控えください。在宅勤務、リモート授業などは差し支えありません。
  • 公共交通機関は使用しないでください(不特定多数が利用する電車、バス、タクシー、飛行機など)。
  • 毎日2回(朝・夕)の体温と症状の有無をご確認ください。発熱、咳、息苦しさ、強い倦怠感などの症状に注意し、これらの症状が見られたら、事前に連絡のうえ、医療機関を受診してください。

新型コロナウイルス感染症と熱中症の区別は難しい

熱中症とCOVID-19は臨床症状から鑑別することはできない

 臨床症状
熱中症Ⅰ度:めまい、立ちくらみ、生あくび、発汗、筋肉痛、筋痙攣Ⅱ度:頭痛、嘔気・嘔吐、全身倦怠感、軽度の意識障害Ⅲ度:高度の意識障害、小脳症状、痙攣発作
COVID-19発熱、悪寒・戦慄、全身倦怠感、頭痛、関節痛、筋肉痛、呼吸困難、鼻汁、咽頭痛、咳嗽、くしゃみ、嗄声、嘔気、下痢、腹痛、耳痛、嗅覚・味覚異常、意識障害、ブレインフォグ*、胸痛、動悸、眼痛、皮疹
新型コロナウイルス流行下における熱中症対応の手引き(第2版)

*ブレインフォグ:思考が鈍くなったり、ぼんやりしたりすること

熱中症とCOVID-19の特徴的な臨床症状の発生頻度

臨床症状熱中症COVID-19
発熱(高体温)大多数26.7-39.2%
筋肉痛Ⅰ度の定義19.1-34.2%
筋痙攣Ⅰ度の定義ほとんどなし
頭痛Ⅱ度の定義68.2-76.5%
全身倦怠感Ⅱ度の定義14.6-20.4%
嘔気Ⅱ度の定義12.6-19.7%
意識障害Ⅲ度の定義1-20%
鼻汁通常はない74.9-82.6%
咽頭痛通常はない68.4-71.0%
咳嗽通常はない49.5-49.9%
くしゃみ通常はない61.3-69.3%
嗄声通常はない42.0-42.8%
呼吸困難6.3-11.3%4.3-5.1%
嗅覚障害通常はない49.9%(従来型)22.3-27.7%(オミクロン株)
新型コロナウイルス流行下における熱中症対応の手引き(第2版)

熱中症予防 × コロナ感染予防(COVID-19流行下の熱中症予防)

  1. マスク着用により、熱中症のリスクが高まります。
    • 屋外で2m以上、十分に離れているときは、熱中症を防ぐためにマスクをはずしましょう
    • マスク着用時は
      • 激しい運動は避けましょう
      • のどが渇いていなくても、こまめに水分補給をしましょう
      • 気温・湿度が高いときは、とくに注意しましょう
  2. 暑さを避けましょう
    • 涼しい服装、日傘・帽子
    • 少しでも体調が悪くなったら、涼しい場所へ
    • 涼しい室内に入れなければ、日陰へ
  3. のどが渇いていなくても、こまめに水分補給をしましょう
    • 1日あたり、1.2Lを目安に(1時間ごとにコップ1杯、入浴前後や起床後もまず水分補給)
    • 大量に汗をかいた時は塩分も忘れずに
  4. エアコン使用中も、こまめに換気をしましょう(エアコンを止める必要はありません)
    • 一般的な家庭用エアコンは、室内の空気を循環させるだけで、換気は行っていません。
    • 窓とドアなど2か所を開ける
    • 扇風機や換気扇を併用する
    • 換気後は、エアコンの温度はこまめに再設定
  5. 暑さに備えた体づくりと日頃から体調管理をしましょう
    • 暑さに備え、暑くなり始めの時期から、無理のない範囲で適度に運動(「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる強度で毎日30分程度)
    • 水分補給は忘れずに
    • 毎朝など、定時の体温測定と健康チェック
    • 体調が悪い時は、無理せず自宅で静養
  • 知っておきたい 熱中症に関する大切なこと
    1. 熱中症警戒アラートの発表時は熱中症予防行動の徹底を!
      • 運動を原則中止。外出をなるべく避け、涼しい室内に移動してください。
    2. 熱中症による死亡者の約8割が高齢者。約半数が80歳以上。
    3. 高齢者の熱中症は半数以上が自宅で発生
      • 高齢者は自宅を涼しく、若い世代は屋外での作業中・運動中に注意が必要

<参考> 環境省・厚生労働省「熱中症予防×コロナ感染防止」

オミクロン株、BA.5

  • 2021年11月24日に南アフリカからWHOへ最初のオミクロン株感染者が報告されましたが、現在は世界中のほぼ全てがオミクロン株(B1.1.529系統)で、その他の系統はほとんど検出されていません。オミクロン株の中には多くの亜系統が発生しているが、全世界的にBA.5系統が主流となっています。
  • 日本国内でも、2022年2月頃にデルタ株からオミクロン株の亜系統であるBA.1系統、次にBA.2系統、現在はBA.5系統に置き換わっています。
  • オミクロン株は、スパイクタンパク質に30ヶ所ほどの変異があり、このうち15ヶ所はウイルスがヒトの細胞の受容体と結合する部位にあります。この変異によって、ヒト細胞への感染性が高まっていたり、抗体医薬が結合できなくなったり、ワクチンの効果を低下させたりする可能性があります。
  • オミクロン株の潜伏期間はこれまでの流行株と比べて短く、約3日
  • BA.5系統は、感染力が強く、ワクチンの効果が低下している可能性がありますが、重症化しやすいという報告はありません。

新型コロナウイルスはエアロゾルで感染する=マスク・換気・3密を避けることが最大の感染対策

感染者(無症状病原体保有者を含む)から咳、くしゃみ、会話などの際に排出されるウイルスを含んだ飛沫・エアロゾル(飛沫より更に小さな水分を含んだ状態の粒子)の吸入が主要感染経路と考えられる。通常は感染者に近い距離(1m以内)で感染するが、エアロゾルは1mを超えて空気中にとどまりうることから、換気不十分な環境などでは、感染が拡大するリスクがある。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第6.0版
厚生労働省 2021年11月2日発行

新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について

ファイザー社、武田/モデルナ社の新型コロナワクチン接種後に、ごくまれに、心筋炎・心膜炎を発症した事例が報告されています。とくに10代・20代の男性の2回目の接種後4日ほどの間に多い傾向があります。ワクチン接種後に胸の痛み、動悸、息切れ、むくみなどの症状がみられた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

厚生労働省「新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について(10代・20代の男性と保護者の方へのお知らせ)」(2021年10月15日) から詳細をご覧ください。

どのようにして感染するのか

  • 感染者(無症状を含む)から咳,くしゃみ,会話などの際に排出されるウイルスを含んだ飛沫・エアロゾル(飛沫より更に小さな水分を含んだ状態の粒子)の吸入が主な感染経路と考えられています。
  • 通常は感染者に近い距離(1m以内)で感染するが、エアロゾルは1mを超えて空気中にとどまりうることから、換気不十分な環境などでは感染が拡大するリスクがあります。
  • ウイルスが付着した場合の生存期間は、プラスチック表面で最大72時間、ボール紙で最大24時間

妊娠中に自宅や宿泊療養(ホテルなど)となられた方へ

  1. 以下のような妊娠に関連した異常については、かかりつけの産婦人科の先生に連絡してください。
    • 性器出血、破水感、頻回の子宮収縮、胎動減少、強い腹痛など
    • その他、助産師さん等からの妊婦健診時に言われた症状
  2. 新型コロナウイルス感染症の症状について、以下の健康観察を行ってください。
    • 呼吸状態、心拍数や呼吸数の計測
    • 体温
    • パルスオキシメーター(サチュレーションモニター)をお持ちの場合は、酸素飽和度(血液内の酸素の量:SpO2)の計測
    • 以下の場合には、かかりつけの産婦人科の先生もしくは保健所に連絡してください。
      1. 1時間に2回以上の息苦しさを感じる時
      2. トイレに行くときなどに息苦しさを感じるようになった時
      3. 心拍数が1分間に110 回以上、もしくは呼吸数が1分間に20回以上
      4. 安静にしていても酸素飽和度が93-94%から1時間以内に回復しない時(妊娠中は赤ちゃんのために 95%以上の酸素飽和度が必要です)
    • 以下の場合は、すぐに救急車を要請してください。
      1. 息苦しくなり、短い文章の発声も出来なくなった時
      2. 酸素飽和度(SpO2)が92%以下になった時

自宅療養、感染予防のポイント

  • 自宅療養中の方は、これらのことを守ってください
    • 自宅療養中は、外出をしないでください。
    • 鼻をかんだティッシュなどは、ビニール袋に入れ、口をしばってから部屋から持ち出してください。
    • 同居者がいる場合は、生活空間を分け、極力、個室から出ないようにしてください。部屋をでるときは、手をアルコールで消毒し、マスクを着用してください。1時間に1回、窓を5-10分くらい開け、部屋の換気を行ってください。
  1. 部屋を分けましょう
    • 個室にしましょう。食事や寝るときも別室にしてください。
    • 子どもがいる方、部屋数が少ない場合など、部屋を分けられない場合には、少なくとも2m以上の距離を保ったり、仕切りやカーテンなどを設置しましょう。
    • 本人は極力部屋からでないようにしましょう。
    • トイレ、浴室などの共有は最小限にしましょう。
  2. 感染者の世話をする人は、できるだけ限られた方にしましょう
    • 看病をする人は一人に限定しましょう。
    • 持病のある方、妊婦の方がお世話をするのは避けてください。
  3. 感染者・同居者は、お互いにマスクをつけましょう
    • 使用したマスクは他の部屋に持ち出さない。
    • マスクの表面には触れない。
    • マスクを外した後は、手指消毒と手洗いを。
  4. 感染者・同居者は、小まめに手を洗いましょう
    • 洗っていない手で目や鼻、口などを触らないようにしてください。ウイルスが粘膜を通して感染することがあります。
  5. 日中はできるだけ換気をしましょう
    • 換気が悪いと、空気中に長時間ウイルスが漂っていることがあります。
  6. 取っ手、ノブなどの手のよく触れる共用する部分をそうじ・消毒しましょう
    • 界面活性剤を含む食器用洗剤・家庭用洗剤・住居用洗剤・洗濯用洗剤、石けん、アルコール(濃度60%以上)、次亜塩素酸ナトリウムが有効です。
  7. 汚れたリネン、衣服を洗濯しましょう
    • タオルや衣類は共用を避けます。
    • 衣類・布団、枕カバーは、下痢、嘔吐などの体液がついている可能性がある場合は、80℃、10分以上の熱湯消毒をしてから、通常の洗濯を行います。
    • 色落ちが気にならないものであれば、薄めた次亜塩素酸ナトリウム(0.05%)も有効です
  8. ゴミはビニール袋に密閉して捨てましょう
    • 鼻をかんだティッシュはすぐにビニール袋に入れ、室外に出すときは密閉して捨てください。
    • ゴミ箱は感染者専用にします。
    • 作業後は直ちに手を石けんで洗いましょう。

<参考> 東京iCDC専門家ボード「新型コロナウイルス感染症 自宅療養者向けハンドブック(第3版)」(2022年1月)

変異型コロナウイルスについて

一般的にウイルスは増殖や感染を繰り返す中で、少しずつ遺伝子配列の変異を起こし、変異株が作られます。新型コロナウイルスも約2週間で、新たな遺伝子変異を起こした変異株ができていると考えられています。国立感染症研究所では、変異株のリスクに応じて、懸念される変異株(VOC:Variants of Concern)、注目すべき変異株(VOI:Variants of Interest)、監視下の変異株(VUM:Variants Under Monitoring )に分類しています。

  1. 懸念される変異株(VOC)=感染性や重症度が増す・ワクチンの効果を弱めるなど、ウイルスの性質が変化した可能性が明らかなもの
    • オミクロン株
  2. 注目すべき変異株(VOI)=感染性や重症度、ワクチンの効果に影響を与える可能性があり、国内への侵入や増加のリスクがあるもの
    • 現在なし
  3. 監視下の変異株(VUM)=感染性や重症度、ワクチンの効果などに影響を与える可能性がある。または、VOCやVOIに指定されていたが感染例が激減したもの
    • 現在なし

*系統名は、PANGOという新型コロナウイルスに関して用いられる国際的な系統分類命名法です。カッコ内の変異株名は、WHOラベルという通称を表しています。

PABGO系統
(WHOラベル)
最初の検出主な変異#感染性
(従来株比)
重篤度
(従来株比)
再感染やワクチン効果
(従来株比)
B.1.1.529系統
(オミクロン株)
2021年11月
南アフリカ等
N501Y
E484A
高い可能性十分な情報なし再感染リスク増加の可能性
ワクチンの効果を弱める可能性
<参考> 国立感染症研究所「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コロナウイルスの変異株について(第15報)」(2022.3.28)

# 数字は遺伝子の位置、両側の英字はアミノ酸の略号を表しています。N501Yは501番目のアミノ酸がアスパラギン(N)からチロシン(Y)に変異しているという意味です。E484Kは484番目のアミノ酸がグルタミン酸(E)からリシン(K)に変異しています。

症状

感染から1日から14日(多くは5日程度)の潜伏期間の後に、次のような症状が現れます。他人への感染は、発症する2−3日前より始まり、発症直後が感染力が最も強くなります。ただし,オミクロン株は潜伏期が2-3日で、曝露から7日以内に発症する者が大部分です。症状がでる前から感染性があり、発症から間もない時期の感染性が高いことが 大流行の原因となっています。

  • 発熱
  • 咳が長引く(1週間前後)
  • 強い倦怠感(だるさ)
  • 息切れ、息苦しさ(呼吸困難)
  • 胸の痛みや圧迫感
  • のどの痛み
  • 味や匂いがしなくなる(若年者、女性に多い)
  • 下痢、嘔吐(10%未満)
  • すぐに診察を受けなければならない危険な症状
    1. 息苦しい、息切れ、呼吸困難、唇や顔色が青ざめる
    2. 胸の持続的な痛みや圧迫感
    3. 意識がもうろうとする、言葉がしゃべりにくい、体が動かない
  • 80%の方はとくに治療せずに回復しますが、6人に1人は重症化し、呼吸困難となります。高齢者や他の病気(高血圧、心臓病、糖尿病など)で治療中の方は重症化しやすい傾向があります。とくに、発熱・咳に息苦しさを伴う場合は、注意する必要があります。また、血管に血液がつまり血栓を作ると、肺塞栓症や脳梗塞をおこし、致命的になることがあります。
重症化のリスク因子
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第8.0版」厚生労働省

臨床症状の頻度

新型コロナウイルス感染症の症状の頻度
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5版」厚生労働省
  • オミクロン株による感染では,ウイルスが鼻やのどで増殖しやすいため、鼻みず、鼻づまり、のどの痛みなどの風邪のような症状が増えています

経過

新型コロナウイルス感染症の経過
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5版」厚生労働省

診断

  • 核酸検出検査:ウイルス遺伝子を特異的に増幅するPCR検査。PCR検査はウイルス遺伝子の一部を増幅させることで、採取したサンプルにウイルスがいるかどうかを検査する方法です。この検査によって、きわめて微量のウイルスの存在を調べることができます。増幅した遺伝子には、病原性はありません。
  • 抗原検査:ウイルスのタンパク質を検出します。定量検査と定性検査があり、定性検査は簡便に検査できるキットがありますが、感度はPCR検査に劣ります。
  • 抗体検査:症状がでてから1−3週間後に陽性となり、すでに感染したかどうかを判定するために使われます。
    • 患者の鼻腔や咽頭から検体を採取する場合、飛沫からの感染リスクが高くなるため、採取する人はサージカルマスク、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、ガウン、手袋を着用する必要があります。

画像診断

  • 肺炎の画像上の所見としては、両肺の末梢側にすりガラス状の陰影を認めることが多いのですが、新型肺炎だけに特徴的な所見ではありません。胸部X線ではわかりにくく、CT検査で小さな病変がみつかる例もありますが、全員にCT検査を推奨されるわけではありません。

重症度分類(医療従事者が評価する基準)

  • 重症度は、血液中の酸素濃度(酸素飽和度)と呼吸困難の程度によって決まります。中等症Ⅱ以上は、酸素投与が必要です。
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第8.0版」厚生労働省

治療

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第8.0版」厚生労働省

COVID-19の重症度と治療の考え方

日本感染症学会「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第15版(2022年11月22日)」

治療薬:( )内は商品名

  1. レムデシビル(ベクルリー点滴静注液):エボラウイルス感染症の治療薬として開発。RNAウイルスの複製を阻害
  2. モルヌピラビル(ラゲブリオ):RNA合成酵素阻害薬、重症化リスクのある患者が対象。ただし、妊婦には投与しない
  3. ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッドパック):SARS-CoV-2 のプロテアーゼ阻害薬
  4. エンシトレビル フマル酸(ゾコーバ):SARS-CoV-2 のプロテアーゼ阻害薬
    • 特徴的な5症状(鼻水・鼻づまり、咽頭痛、咳、発熱、倦怠感)の消失を24時間短縮
    • 重症化抑制効果のデータなし
  5. ソトロビマブ(ゼビュディ):新型コロナウイルスの中和抗体薬
    • カシリビマブ/イムデビマブと同様に、発症から時間の経っていない軽症例で重症化を抑制する効果あり
    • オミクロン株(B1.1.529系統/BA.2系統,BA.4系統およびBA.5系統)に対して有効性が減弱している可能性あり
  6. カシリビマブ/イムデビマブ(ロナプリーブ):新型コロナウイルスの中和抗体薬
    • SARS-CoV-2スパイク蛋白の受容体結合ドメインに対するモノクローナル抗体
    • 中和抗体薬は発症から時間の経っていない軽症例に効果がある
    • 重症化リスク因子があり、酸素投与を必要としない患者が対象
    • オミクロン株(B1.1.529系統/BA.2系統,BA.4系統およびBA.5系統)に対して有効性が減弱している可能性あり
  7. チキサゲビマブ/シルガビマブ(エバジェルド):新型コロナウイルスの中和抗体薬、筋肉注射
  8. ステロイド(デキサメタゾン):コルチコステロイドの抗炎症作用によって、有害な炎症反応を予防または抑制する
  9. バリシチニブ(オルミエント錠):関節リウマチに使われる薬でJAKキナーゼ阻害薬
  10. トシリズマブ(アクテムラ):関節リウマチに使われる薬で抗IL-6受容体モノクローナル抗体。ステロイド薬と併用する
  11. ヘパリン:血栓塞栓症の合併を予防

軽症〜中等症Ⅰ(酸素投与が必要ない)患者への治療薬の特徴

日本感染症学会「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第15版(2022年11月22日)」

罹患後症状

新型コロナウイルス感染後の一部の患者さんに、なんらかの症状が持続したり、ぶり返したりすることがあります。いわゆる、コロナ後遺症です。WHO は下記のような症状が少なくとも2ヶ月以上続き、他の疾患で説明がつかないものを罹患後症状(post-COVID-19 condition)と定義しています。これらの罹患後症状は時間とともにほとんどの患者さんで改善すると考えられていますが、不明の点も多く残されています。

代表的な罹患後症状
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第8.0版」厚生労働省

かかりつけ医に相談する目安

  • 少なくとも以下のいずれかに該当する場合には、すぐに御相談ください。
    • 息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
    • 重症化しやすい方(*)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
      • (*) 高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
    • 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
  • 発熱等の症状のある方は、まずはかかりつけ医等の地域で身近な医療機関に電話相談してください。相談先に迷った場合等は、最寄りの保健所の「受診・相談センター」に電話してください。

予防

かぜやインフルエンザと同様の予防策を行いましょう。

  1. マスクの着用
    • マスクは咳やくしゃみでウイルスなどが飛び散って他人に感染するのを防ぐことが主な目的です。咳やくしゃみなどの症状があるときは、積極的に使用してください。
  2. 石けんやアルコール消毒液などによる手洗い
    • とくにトイレに行くとき、食事の前、鼻をかんだ後、咳やくしゃみをしたとき
  3. 手を洗わずに、目や鼻、口などを触らない
  4. かぜ症状のある方との接触を避ける
  5. 体調の悪いときは、外出しない
  6. よく触るテーブルの表面などは、消毒スプレーでよく拭く
  7. 咳エチケット
    • 咳やくしゃみを手でおさえると、その手で触ったドアノブなど周囲のものにウイルスが付着し、他の人に病気をうつす可能性があります。咳・くしゃみをするときは、マスクやティッシュ・ハンカチなどを使って口や鼻をおさえましょう。

新型コロナウイルス感染症で、ご自宅などで療養されている方は、次のような症状を自覚したり、ご家族が発見したときは、すぐに相談窓口などに連絡してください。

  1. 顔色が明らかに悪い
  2. 唇が紫色になっている
  3. いつもと違う・様子がおかしい
  4. 息が荒くなった(呼吸数が多くなった)
  5. 急に息苦しくなった
  6. 生活をしていて少し動くと息苦しい
  7. 胸の痛みがある
  8. 横になれない、座らないと息ができない
  9. 肩で息をしている
  10. 突然(2時間以内を目安)ゼーゼーしはじめた
  11. ぼんやりしている(反応が弱い)
  12. もうろうとしている(返事がない)
  13. 脈がとぶ、脈のリズムが乱れる感じがする

<参考> 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養・自宅療養における 健康観察における留意点について」(2020年4月27日)

花粉症に紛れ込む新型コロナ

新型コロナウイルス感染症は、発熱、のどの痛み、咳、くしゃみ、鼻水、全身倦怠感、味覚・嗅覚異常など症状は多彩です。一方、花粉症の患者さんは、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻・目のかゆみなどを訴え、新型コロナウイルス感染症とそっくりな症状があれわれるときがあります。花粉症と思われている患者さんのなかに、新型コロナウイルス感染症患者が紛れ込んでくるリスクがあることを考えておく必要があります。

日本感染症学会「花粉症患者の中に紛れ込む新型コロナウイルス感染症のリスク−“あやしい”と感じたときには積極的な検査を−」より引用

これまでの経過

2019年12月下旬、中国湖北省武漢市で新型コロナウイルス感染症の流行が報告されました。ほとんどの患者は魚や獣肉を扱う海鮮市場の関係者で、市場は2020年1月1日に閉鎖されました。当初は、動物からヒトへの感染のみと考えられていましたが、武漢市からのタイや日本への旅行者からも新型コロナウイルスの感染が報告され、ヒトからヒトへ感染が拡大していることがわかりました。

コロナウイルスは多くの種類があり、一部のウイルスはヒトに日常的に感染を起こし「かぜ」の原因になります。しかし、大半のコロナウイルスは、ラクダや猫、コウモリなどの動物の間だけで感染します。ごくまれに、動物のコロナウイルスが変異を起こし、ヒトに感染して流行することが知られています。

これまでにヒトで集団発生を起こした新型のコロナウイルスは、SARSウイルス(SARS-CoV)、MERSウイルス(MERS-CoV)の2種類が知られています。今回の「新型コロナウイルス」は、この2種類とは異なる新しいウイルスです(SARS-CoV-2)。新型コロナウイルスは、動物からヒトへの感染から、ヒトからヒトへと感染が拡大しています。

  • SARS(重症急性呼吸器症候群)は2002年に中国広東省で発生しましたが、コウモリのコロナウイルスがヒトに感染して重症肺炎を引き起こしたと考えられています。
  • MERS(中東呼吸器症候群)は2012年にサウジアラビアで発生しましたが、ヒトコブラクダのウイルスがヒトに感染して重症肺炎を引き起こしたと考えられています。
  • COVID-19:2020年2月11日、WHOは中国湖北省武漢市で発生し、世界的な流行を起こしている「新型コロナウイルス感染症」を「COVID-19」と名付けました。混乱しやすいですが、感染症としての病名が「COVID-19」で、原因ウイルスは「SARS-CoV-2」と呼ばれます。

2020年3月11日、WHO事務局長は、現状をパンデミック(世界的な大流行)であると表明しました。COVID-19は史上初めてのコロナウイルスによるパンデミックとなります。(COVID-19 can be characterized as a pandemic. This is the first pandemic caused by a coronavirus.)

4月7日、政府は、7都府県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県)に「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」。4月16日、全都道府県に拡大。

5月14日、北海道・東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪・兵庫・京都を除く39県で緊急事態宣言を解除。5月25日、全都道府県で解除。

7月22日、観光庁 Go To トラベル事業開始(東京都は対象外)

10月1日、Go to トラベル事業、東京都も対象に
10月1日、農林水産省、Go to Eat キャンペーン開始
10月2日、トランプ大統領がCOVID-19に感染

2021年
1月8日、埼玉・千葉・東京・神奈川の1都3県を対象に2月7日までの緊急事態宣言が発出
1月13日、大阪・兵庫・京都・愛知・岐阜・福岡・栃木の7つの府県を緊急事態宣言の対象地域に追加

2月14日、新型コロナワクチン 国内初の正式承認(米ファイザー製)
2月17日、新型コロナワクチン、医療従事者に先行接種始まる

4月5日、「まん延防止等重点措置」大阪、兵庫、宮城
4月12日、「まん延防止等重点措置」東京、京都、沖縄
4月20日、「まん延防止等重点措置」埼玉、千葉、神奈川、愛知
4月25日、東京、大阪、兵庫、京都に3回目の「緊急事態宣言」

5月7日、愛知、福岡に「緊急事態宣言」
5月16日、北海道、岡山、広島に「緊急事態宣言」

7月12日、東京に4回目の緊急事態宣言
7月23日、東京オリンピック、開幕

8月2日、緊急事態宣言、6都府県に拡大(東京、沖縄、埼玉、千葉、神奈川、大阪)
8月8日、東京オリンピック閉幕
8月19日、自宅療養中の妊婦 受け入れ先見つからず早産で新生児死亡
8月27日、緊急事態宣言の対象地域に、北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県が追加

11月1日、東京都の新型コロナ感染者が1年5か月ぶりに1桁に
11月27日、新変異ウイルス「オミクロン株」 懸念される変異株に指定

12月25日、抗体カクテル療法はオミクロン株に効果期待できず、投与推奨せず

2022年
1月21日、政府「まん延防止措置」13都県に適用へ

3月18日、上海ロックダウン(中国ゼロコロナ政策)
3月22日、「まん延防止」、すべての地域で解除

5月25日、新型コロナワクチンの4回目接種が開始、60歳以上の人や18歳以上の基礎疾患のある人などが対象

6月1日、上海ロックダウン解除
6月10日、外国人観光客受け入れ再開、添乗員付きツアー客限定

7月21日、米バイデン大統領が新型コロナ感染
7月22日、新型コロナワクチンの4回目接種、医療従事者や介護職員などにも拡大

8月11日、新型コロナ新規感染者数、日本が3週連続世界最多(WHO発表)
8月19日、新型コロナ 全国感染者は過去最多26万1029人に 19道県で最多

9月6日、5歳から11歳の子どもの新型コロナワクチン接種について、接種を受けるよう努めなければならないとする「努力義務」が適用
9月20日、オミクロン株に対応した新型コロナワクチンの接種開始
9月26日、新型コロナ感染者の全数把握見直し、全国一律開始

10月5日、オミクロン株BA.5対応ワクチンの使用承認
10月5日、生後6か月〜4歳までの子どもを対象にしたワクチンの使用承認
10月11日、新型コロナの水際対策が大幅緩和。入国者数の上限撤廃、個人の外国人旅行客の入国解禁など、制限はコロナ禍前の状態に
10月13日、新型コロナウイルスのオミクロン株「BA.5」に対応するワクチンの接種が順次開始
10月24日、生後6か月〜4歳までの子どもを対象にしたワクチンの公的接種を開始

11月16日、日本医師会「新たな第8波が始まった」
11月22日、塩野義製薬が開発した新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」、厚生労働省が承認

12月6日、中国「ゼロコロナ」見直し
12月12日、政府分科会 尾身会長が新型コロナに感染

2023年
1月5日、インフルエンザ 全国的な流行期に コロナと同時流行懸念

<ガイドライン・マニュアル>

<参考>

胸痛

心筋炎・心膜炎

2021年10月21日
マスクを着けた熱中症

熱中症と新型コロナウイルス感染症の区別は難しい

2021年7月28日
ノート

コロナでよくでる用語集

2021年1月19日
妊婦

妊娠と新型コロナウイルス

2021年1月6日
くしゃみ

インフルエンザ

2020年12月1日
検査

偽陰性と偽陽性

2020年9月29日
鼻腔検査

どうなる新型コロナの分類、2類相当から5類へ

2020年8月27日

熱中症の症状と対策

2019年8月14日
ラクダ

MERS(中東呼吸器症候群)

2015年6月3日

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