熱中症予防 × コロナ感染予防
- マスク着用により、熱中症のリスクが高まります。
- 屋外で2m以上、十分に離れているときは、熱中症を防ぐためにマスクをはずしましょう
- マスク着用時は
- 激しい運動は避けましょう
- のどが渇いていなくても、こまめに水分補給をしましょう
- 気温・湿度が高いときは、とくに注意しましょう
- 暑さを避けましょう
- 涼しい服装、日傘・帽子
- 少しでも体調が悪くなったら、涼しい場所へ
- 涼しい室内に入れなければ、日陰へ
- のどが渇いていなくても、こまめに水分補給をしましょう
- 1日あたり、1.2Lを目安に(1時間ごとにコップ1杯、入浴前後や起床後もまず水分補給)
- 大量に汗をかいた時は塩分も忘れずに
- エアコン使用中も、こまめに換気をしましょう(エアコンを止める必要はありません)
- 一般的な家庭用エアコンは、室内の空気を循環させるだけで、換気は行っていません。
- 窓とドアなど2か所を開ける
- 扇風機や換気扇を併用する
- 換気後は、エアコンの温度はこまめに再設定
- 暑さに備えた体づくりと日頃から体調管理をしましょう
- 暑さに備え、暑くなり始めの時期から、無理のない範囲で適度に運動(「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる強度で毎日30分程度)
- 水分補給は忘れずに
- 毎朝など、定時の体温測定と健康チェック
- 体調が悪い時は、無理せず自宅で静養
- 知っておきたい 熱中症に関する大切なこと
- 熱中症警戒アラートの発表時は熱中症予防行動の徹底を!
- 運動を原則中止。外出をなるべく避け、涼しい室内に移動してください。
- 熱中症による死亡者の約8割が高齢者。約半数が80歳以上。
- 高齢者の熱中症は半数以上が自宅で発生
- 高齢者は自宅を涼しく、若い世代は屋外での作業中・運動中に注意が必要
- 熱中症警戒アラートの発表時は熱中症予防行動の徹底を!
<参考> 環境省・厚生労働省 「熱中症予防×コロナ感染防止で新しい生活様式を健康に!」
オミクロン株
- 2021年11月24日に南アフリカからWHOへ最初のオミクロン株感染者が報告されてから、全世界100カ国以上で感染例が報告されている。オミクロン株は、スパイクタンパク質に30ヶ所ほどの変異があり、このうち15ヶ所はウイルスがヒトの細胞の受容体と結合する部位にある。この変異によって、ヒト細胞への感染性が高まっていたり、抗体医薬が結合できなくなったり、ワクチンの効果を低下させたりする可能性がある。とくに抗体カクテル療法のカシリビマブ・イムデビマブ(商品名 ロナプリーブ)の有効性が低下することが報告されている。また、ワクチンの2回接種でも十分な予防効果がない可能性がある。デルタ株よりも重症化しにくいという報告もあるが、感染力が強いため、感染者が大幅に増えれば一定の重症者が発生する可能性はある。
- オミクロン株には、BA.1、BA.2、BA.3の3種類の亜型があり、現在の世界的な主流はBA.1だが、多くの地域でBA.2の割合が増加し、BA.2が優勢になっている国もある。また、BA.1感染後にBA.2への再感染も報告されている。
- オミクロン株の潜伏期間はこれまでの流行株と比べて短く、約3日。BA.2では、さらに短い可能性あり。
新型コロナウイルスはエアロゾルで感染する
感染者(無症状病原体保有者を含む)から咳、くしゃみ、会話などの際に排出されるウイルスを含んだ飛沫・エアロゾル(飛沫より更に小さな水分を含んだ状態の粒子)の吸入が主要感染経路と考えられる。通常は感染者に近い距離(1m以内)で感染するが、エアロゾルは1mを超えて空気中にとどまりうることから、換気不十分な環境などでは、感染が拡大するリスクがある。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第6.0版
厚生労働省 2021年11月2日発行
ということは、マスクと換気、3密を避けることが最大の感染対策です
新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について
ファイザー社、武田/モデルナ社の新型コロナワクチン接種後に、ごくまれに、心筋炎・心膜炎を発症した事例が報告されています。とくに10代・20代の男性の2回目の接種後4日ほどの間に多い傾向があります。ワクチン接種後に胸の痛み、動悸、息切れ、むくみなどの症状がみられた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
厚生労働省「新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について(10代・20代の男性と保護者の方へのお知らせ)」(2021年10月15日) から詳細をご覧ください。
どのようにして感染するのか
- 感染者(無症状を含む)から咳,くしゃみ,会話などの際に排出されるウイルスを含んだ飛沫・エアロゾル(飛沫より更に小さな水分を含んだ状態の粒子)の吸入が主な感染経路と考えられています。
- 通常は感染者に近い距離(1m以内)で感染するが、エアロゾルは1mを超えて空気中にとどまりうることから、換気不十分な環境などでは感染が拡大するリスクがあります。
- ウイルスが付着した場合の生存期間は、プラスチック表面で最大72時間、ボール紙で最大24時間
妊娠中に自宅や宿泊療養(ホテルなど)となられた方へ
- 以下のような妊娠に関連した異常については、かかりつけの産婦人科の先生に連絡してください。
- 性器出血、破水感、頻回の子宮収縮、胎動減少、強い腹痛など
- その他、助産師さん等からの妊婦健診時に言われた症状
- 新型コロナウイルス感染症の症状について、以下の健康観察を行ってください。
- 呼吸状態、心拍数や呼吸数の計測
- 体温
- パルスオキシメーター(サチュレーションモニター)をお持ちの場合は、酸素飽和度(血液内の酸素の量:SpO2)の計測
- 以下の場合には、かかりつけの産婦人科の先生もしくは保健所に連絡してください。
- 1時間に2回以上の息苦しさを感じる時
- トイレに行くときなどに息苦しさを感じるようになった時
- 心拍数が1分間に110 回以上、もしくは呼吸数が1分間に20回以上
- 安静にしていても酸素飽和度が93-94%から1時間以内に回復しない時(妊娠中は赤ちゃんのために 95%以上の酸素飽和度が必要です)
- 以下の場合は、すぐに救急車を要請してください。
- 息苦しくなり、短い文章の発声も出来なくなった時
- 酸素飽和度(SpO2)が92%以下になった時
自宅療養、感染予防のポイント
- 自宅療養中の方は、これらのことを守ってください
- 自宅療養中は、外出をしないでください。
- 鼻をかんだティッシュなどは、ビニール袋に入れ、口をしばってから部屋から持ち出してください。
- 同居者がいる場合は、生活空間を分け、極力、個室から出ないようにしてください。部屋をでるときは、手をアルコールで消毒し、マスクを着用してください。1時間に1回、窓を5-10分くらい開け、部屋の換気を行ってください。
- 部屋を分けましょう
- 個室にしましょう。食事や寝るときも別室にしてください。
- 子どもがいる方、部屋数が少ない場合など、部屋を分けられない場合には、少なくとも2m以上の距離を保ったり、仕切りやカーテンなどを設置しましょう。
- 本人は極力部屋からでないようにしましょう。
- トイレ、浴室などの共有は最小限にしましょう。
- 感染者の世話をする人は、できるだけ限られた方にしましょう
- 看病をする人は一人に限定しましょう。
- 持病のある方、妊婦の方がお世話をするのは避けてください。
- 感染者・同居者は、お互いにマスクをつけましょう
- 使用したマスクは他の部屋に持ち出さない。
- マスクの表面には触れない。
- マスクを外した後は、手指消毒と手洗いを。
- 感染者・同居者は、小まめに手を洗いましょう
- 洗っていない手で目や鼻、口などを触らないようにしてください。ウイルスが粘膜を通して感染することがあります。
- 日中はできるだけ換気をしましょう
- 換気が悪いと、空気中に長時間ウイルスが漂っていることがあります。
- 取っ手、ノブなどの手のよく触れる共用する部分をそうじ・消毒しましょう
- 界面活性剤を含む食器用洗剤・家庭用洗剤・住居用洗剤・洗濯用洗剤、石けん、アルコール(濃度60%以上)、次亜塩素酸ナトリウムが有効です。
- 汚れたリネン、衣服を洗濯しましょう
- タオルや衣類は共用を避けます。
- 衣類・布団、枕カバーは、下痢、嘔吐などの体液がついている可能性がある場合は、80℃、10分以上の熱湯消毒をしてから、通常の洗濯を行います。
- 色落ちが気にならないものであれば、薄めた次亜塩素酸ナトリウム(0.05%)も有効です
- ゴミはビニール袋に密閉して捨てましょう
- 鼻をかんだティッシュはすぐにビニール袋に入れ、室外に出すときは密閉して捨てください。
- ゴミ箱は感染者専用にします。
- 作業後は直ちに手を石けんで洗いましょう。
<参考> 東京iCDC専門家ボード「新型コロナウイルス感染症 自宅療養者向けハンドブック(第2版)」(2021年8月)
変異型コロナウイルスについて
一般的にウイルスは増殖や感染を繰り返す中で、少しずつ遺伝子配列の変異を起こし、変異株が作られます。新型コロナウイルスも約2週間で、新たな遺伝子変異を起こした変異株ができていると考えられています。国立感染症研究所では、変異株のリスクに応じて、懸念される変異株(VOC:Variants of Concern)、注目すべき変異株(VOI:Variants of Interest)、監視下の変異株(VUM:Variants Under Monitoring )に分類しています。
- 懸念される変異株(VOC)=感染性や重症度が増す・ワクチンの効果を弱めるなど、ウイルスの性質が変化した可能性が明らかなもの
- デルタ株
- オミクロン株
- 注目すべき変異株(VOI)=感染性や重症度、ワクチンの効果に影響を与える可能性があり、国内への侵入や増加のリスクがあるもの
- 現在なし
- 監視下の変異株(VUM)=感染性や重症度、ワクチンの効果などに影響を与える可能性がある。または、VOCやVOIに指定されていたが感染例が激減したもの
- アルファ株
- ベータ株
- ガンマ株
*系統名は、PANGOという新型コロナウイルスに関して用いられる国際的な系統分類命名法です。カッコ内の変異株名は、WHOラベルという通称を表しています。
PABGO系統 (WHOラベル) | 最初の検出 | 主な変異# | 感染性 (従来株比) | 重篤度 (従来株比) | 再感染やワクチン効果 (従来株比) |
B.1.351系統 (ベータ株) | 2020年5月 南アフリカ | N501Y E484K | 5割程度高い可能性 | 入院時死亡リスクが高い可能性 | ワクチンや抗体医薬の効果を弱める可能性 |
P.1系統 (ガンマ株) | 2020年11月 ブラジル | N501Y E484K | 1.4-2.2倍高い可能性 | 入院時死亡リスクが高い可能性 | ワクチンや抗体医薬の効果を弱める可能性 従来株感染者の再感染の事例報告あり |
B.1.617.2系統 (デルタ株) | 2020年10月 インド | L452R | 高い可能性 (アルファ株の1.5倍) | 入院時死亡リスクが高い可能性 | ワクチンの効果を弱める可能性 |
B.1.1.529系統 (オミクロン株) | 2021年11月 南アフリカ等 | N501Y E484A | 高い可能性 | 十分な情報なし | 再感染リスク増加の可能性 ワクチンの効果を弱める可能性 |
# 数字は遺伝子の位置、両側の英字はアミノ酸の略号を表しています。N501Yは501番目のアミノ酸がアスパラギン(N)からチロシン(Y)に変異しているという意味です。E484Kは484番目のアミノ酸がグルタミン酸(E)からリシン(K)に、L452Rは452番目がロイシン(L)からアルギニン(R)に変異しています。
症状
感染から1日から14日(多くは5日程度)の潜伏期間の後に、次のような症状が現れます。他人への感染は、発症する2−3日前より始まり、発症直後が感染力が最も強くなります。
- 発熱
- 咳が長引く(1週間前後)
- 強い倦怠感(だるさ)
- 息切れ、息苦しさ(呼吸困難)
- 胸の痛みや圧迫感
- のどの痛み
- 味や匂いがしなくなる(若年者、女性に多い)
- 下痢、嘔吐(10%未満)
- すぐに診察を受けなければならない危険な症状
- 息苦しい、息切れ、呼吸困難、唇や顔色が青ざめる
- 胸の持続的な痛みや圧迫感
- 意識がもうろうとする、言葉がしゃべりにくい、体が動かない
80%の方はとくに治療せずに回復しますが、6人に1人は重症化し、呼吸困難となります。高齢者や他の病気(高血圧、心臓病、糖尿病など)で治療中の方は重症化しやすい傾向があります。とくに、発熱・咳に息苦しさを伴う場合は、注意する必要があります。また、血管に血液がつまり血栓を作ると、肺塞栓症や脳梗塞をおこし、致命的になることがあります。
臨床症状の頻度

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5版」厚生労働省
経過

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5版」厚生労働省
診断
- 核酸検出検査:ウイルス遺伝子を特異的に増幅するPCR検査。PCR検査はウイルス遺伝子の一部を増幅させることで、採取したサンプルにウイルスがいるかどうかを検査する方法です。この検査によって、きわめて微量のウイルスの存在を調べることができます。増幅した遺伝子には、病原性はありません。
- 抗原検査:ウイルスのタンパク質を検出します。定量検査と定性検査があり、定性検査は簡便に検査できるキットがありますが、感度はPCR検査に劣ります。
- 抗体検査:症状がでてから1−3週間後に陽性となり、すでに感染したかどうかを判定するために使われます。
- 患者の鼻腔や咽頭から検体を採取する場合、飛沫からの感染リスクが高くなるため、採取する人はサージカルマスク、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、ガウン、手袋を着用する必要があります。
画像診断
肺炎の画像上の所見としては、両肺の末梢側にすりガラス状の陰影を認めることが多いのですが、新型肺炎だけに特徴的な所見ではありません。胸部X線ではわかりにくく、CT検査で小さな病変がみつかる例もありますが、全員にCT検査を推奨されるわけではありません。
重症度分類(医療従事者が評価する基準)
- 重症度は、血液中の酸素濃度(酸素飽和度)と呼吸困難の程度によって決まります。中等症Ⅱ以上は、酸素投与が必要です。

治療

治療薬:( )内は商品名
- レムデシビル(ベクルリー点滴静注液):エボラウイルス感染症の治療薬として開発。RNAウイルスの複製を阻害
- モルヌピラビル(ラゲブリオ):RNA合成酵素阻害薬、重症化リスクのある患者が対象。ただし、妊婦には投与しない
- ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッドパック):SARS-CoV-2 のプロテアーゼ阻害薬
- ソトロビマブ(ゼビュディ):新型コロナウイルスの中和抗体薬
- カシリビマブ/イムデビマブと同様に、発症から時間の経っていない軽症例で重症化を抑制する効果あり
- カシリビマブ/イムデビマブ(ロナプリーブ):新型コロナウイルスの中和抗体薬
- SARS-CoV-2スパイク蛋白の受容体結合ドメインに対するモノクローナル抗体
- 中和抗体薬は発症から時間の経っていない軽症例に効果がある
- 重症化リスク因子があり、酸素投与を必要としない患者が対象
- ステロイド(デキサメタゾン):コルチコステロイドの抗炎症作用によって、有害な炎症反応を予防または抑制する
- バリシチニブ(オルミエント錠):関節リウマチに使われる薬でJAKキナーゼ阻害薬
- トシリズマブ(アクテムラ):関節リウマチに使われる薬で抗IL-6受容体モノクローナル抗体。ステロイド薬と併用する
- ヘパリン:血栓塞栓症の合併を予防
重症化のリスク因子
- 65歳以上の高齢者
- 悪性腫瘍
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 慢性腎臓病
- 2型糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症
- 肥満(BMI 30以上)
- 喫煙
- 固形臓器移植後の免疫不全
- 妊娠後期
いまわかっている11のこと
- 日本では、これまでにどれくらいの人が新型コロナウイルス感染症と診断されていますか。
- 日本では、これまでに7,860,059人が新型コロナウイルス感染症と診断されており、これは全人口の約6.2%に相当します。(2022年5月1日0時時点)
- 最新の情報:
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html
- 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人や死亡する人はどれくらいですか。
- 重症化する人や死亡する人の割合は高齢者で高い傾向にあります。
- 重症化する割合や死亡する割合は以前と比べて低下
- 重症化する人の割合は 50歳代以下で0.03%、60歳代以上で2.49%
- 死亡する人の割合は50歳代以下で0.01%、60歳代以上で1.99%
- ワクチンを3回接種された方の重症化・死亡リスクは2回接種以下に比べて大きく低下する
- 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化しやすいのはどんな人ですか。
- 重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患のある方、一部の妊娠後期の方です。
- 基礎疾患:慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満、喫煙など
- ワクチン接種を受けることで、重症化予防効果が期待できます。
- 重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患のある方、一部の妊娠後期の方です。
- 海外と比べて、日本で新型コロナウイルス感染症と診断されている人の数は多いのですか。
- 日本の人口当たりの感染者数、死者数は、主要国と比べて低い水準です。
- 新型コロナウイルスに感染した人が、他の人に感染させてしまう可能性がある期間はいつまでですか。
- 症状のでる2日前から、症状がでて7-10日間程度です。とくに、症状がでる直前・直後でウイルス排出量が高くなると考えられています。このため、症状がなくとも、不要・不急の外出を控えるなど感染防止に努める必要があります。
- 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、どれくらいの人が他の人に感染させていますか。
- 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、他の人に感染させているのは2割以下です。 このため、1人の感染者が何人もの人に感染させてしまうことがなければ、流行を抑えることが可能です。不要・不急の外出を控えることや、人と接するときにはマスクを着用することなど、多くの人に感染させることのないように行動することが大切です。
- 新型コロナウイルス感染症を拡げないためには、どのような場面に注意する必要がありますか。
- 主に飛沫感染や接触感染によって感染するため、3密(密閉・密集・密接)の環境で感染リスクが高まります。 このほか、飲酒を伴う懇親会等、大人数や長時間におよぶ飲食、マスクなしでの会話、狭い空間での共同生活、休憩室・喫煙所・更衣室でも感染が起きやすく、注意が必要です。
- 新型コロナウイルス感染症を診断するための検査にはどのようなものがありますか。
- PCR検査、抗原定量検査、抗原定性検査等があり、体内にウイルスが存在し、ウイルスに感染しているかを調べるための検査です。なお、抗体検査は、過去に新型コロナウイルス感染症にかかったことがあるかを調べるものです。
- 新型コロナウイルス感染症はどのようにして治療するのですか。
- 軽症の場合は経過観察のみで自然に軽快することが多く、必要な場合に解熱薬などの対症療法を行います。
- 重症化リスクのある方は、中和抗体薬や経口の抗ウイルス薬で重症化を予防します。
- 呼吸不全を伴う場合には、酸素投与や抗ウイルス薬、ステロイド薬 (炎症を抑える薬)、免疫調整薬の投与を行い、改善しない場合には人工呼吸器等による集中治療を行うことがあります。
- 現在、日本で接種できる新型コロナワクチンはどのようなワクチンですか。どのように接種が進みますか。
- 国内では、ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチン、アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンが接種されています。
- 初回接種(1回目・2回目)
- ファイザー社のワクチンは5歳以上、モデルナ社のワクチンは12歳以上、アストラゼネカ社のワクチンは原則40歳以上の方が対象です。
- 追加(3回目)接種
- 2021年12月1日より、2回目の接種が完了した方を対象に追加接種が開始されています。ファイザー社のワクチンを12歳以上に、モデルナ社、ノババックス社のワクチンを18歳以上の方に接種します。
- 4回目接種:60歳以上の方、基礎疾患のある方が対象
- ワクチンの発症予防効果は70-95%と報告されています。また、重症化を予防する効果が確認されています。
- ワクチンの副反応には、注射部位の痛み、疲労感、頭痛、筋肉や関節の痛み、寒気、下痢、発熱などがありますが、いずれも数日で回復します。まれな頻度で、重症のアナフィラキシーが報告されています。
- 新型コロナウイルスの変異について教えてください。
- 一般的にウイルスは増殖・流行を繰り返す中で少しずつ変異し、新型コロナウイル スも約2週間で一か所程度の速度で変異を起こしています。現在、B.1.1.529系統の 変異株(オミクロン株)が日本を含む世界各地で主流となっています。
<参考> 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識 (2022年5月版)」
かかりつけ医に相談する目安
- 少なくとも以下のいずれかに該当する場合には、すぐに御相談ください。
- 息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
- 重症化しやすい方(*)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
- (*) 高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
- 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
- 発熱等の症状のある方は、まずはかかりつけ医等の地域で身近な医療機関に電話相談してください。相談先に迷った場合等は、最寄りの保健所の「受診・相談センター」に電話してください。
濃厚接触者とは
- 濃厚接触者とは、感染者に症状がでた2日前から、
- 感染者と同居または長時間の接触(車内、航空機内での接触を含む)
- 感染者と適切な感染防護なしに診察、看護、介護していた
- 感染者の痰や体液などの汚染物質に直接触れた可能性が高い
- 感染者と、手で触れることの出来る距離(目安として1m)で、必要な感染予防策なしで、15分以上の接触があった
予防
かぜやインフルエンザと同様の予防策を行いましょう。
- マスクの着用
- マスクは咳やくしゃみでウイルスなどが飛び散って他人に感染するのを防ぐことが主な目的です。咳やくしゃみなどの症状があるときは、積極的に使用してください。
- 石けんやアルコール消毒液などによる手洗い
- とくにトイレに行くとき、食事の前、鼻をかんだ後、咳やくしゃみをしたとき
- 手を洗わずに、目や鼻、口などを触らない
- かぜ症状のある方との接触を避ける
- 体調の悪いときは、外出しない
- よく触るテーブルの表面などは、消毒スプレーでよく拭く
- 咳エチケット
- 咳やくしゃみを手でおさえると、その手で触ったドアノブなど周囲のものにウイルスが付着し、他の人に病気をうつす可能性があります。咳・くしゃみをするときは、マスクやティッシュ・ハンカチなどを使って口や鼻をおさえましょう。
新型コロナウイルス感染症で、ご自宅などで療養されている方は、次のような症状を自覚したり、ご家族が発見したときは、すぐに相談窓口などに連絡してください。
- 顔色が明らかに悪い
- 唇が紫色になっている
- いつもと違う・様子がおかしい
- 息が荒くなった(呼吸数が多くなった)
- 急に息苦しくなった
- 生活をしていて少し動くと息苦しい
- 胸の痛みがある
- 横になれない、座らないと息ができない
- 肩で息をしている
- 突然(2時間以内を目安)ゼーゼーしはじめた
- ぼんやりしている(反応が弱い)
- もうろうとしている(返事がない)
- 脈がとぶ、脈のリズムが乱れる感じがする
<参考> 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養・自宅療養における 健康観察における留意点について」(2020年4月27日)
花粉症に紛れ込む新型コロナ
新型コロナウイルス感染症は、発熱、のどの痛み、咳、くしゃみ、鼻水、全身倦怠感、味覚・嗅覚異常など症状は多彩です。一方、花粉症の患者さんは、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻・目のかゆみなどを訴え、新型コロナウイルス感染症とそっくりな症状があれわれるときがあります。花粉症と思われている患者さんのなかに、新型コロナウイルス感染症患者が紛れ込んでくるリスクがあることを考えておく必要があります。

これまでの経過
2019年12月下旬、中国湖北省武漢市で新型コロナウイルス感染症の流行が報告されました。ほとんどの患者は魚や獣肉を扱う海鮮市場の関係者で、市場は2020年1月1日に閉鎖されました。当初は、動物からヒトへの感染のみと考えられていましたが、武漢市からのタイや日本への旅行者からも新型コロナウイルスの感染が報告され、ヒトからヒトへ感染が拡大していることがわかりました。
コロナウイルスは多くの種類があり、一部のウイルスはヒトに日常的に感染を起こし「かぜ」の原因になります。しかし、大半のコロナウイルスは、ラクダや猫、コウモリなどの動物の間だけで感染します。ごくまれに、動物のコロナウイルスが変異を起こし、ヒトに感染して流行することが知られています。
これまでにヒトで集団発生を起こした新型のコロナウイルスは、SARSウイルス(SARS-CoV)、MERSウイルス(MERS-CoV)の2種類が知られています。今回の「新型コロナウイルス」は、この2種類とは異なる新しいウイルスです(SARS-CoV-2)。新型コロナウイルスは、動物からヒトへの感染から、ヒトからヒトへと感染が拡大しています。
- SARS(重症急性呼吸器症候群)は2002年に中国広東省で発生しましたが、コウモリのコロナウイルスがヒトに感染して重症肺炎を引き起こしたと考えられています。
- MERS(中東呼吸器症候群)は2012年にサウジアラビアで発生しましたが、ヒトコブラクダのウイルスがヒトに感染して重症肺炎を引き起こしたと考えられています。
- COVID-19:2020年2月11日、WHOは中国湖北省武漢市で発生し、世界的な流行を起こしている「新型コロナウイルス感染症」を「COVID-19」と名付けました。混乱しやすいですが、感染症としての病名が「COVID-19」で、原因ウイルスは「SARS-CoV-2」と呼ばれます。
2020年3月11日、WHO事務局長は、現状をパンデミック(世界的な大流行)であると表明しました。COVID-19は史上初めてのコロナウイルスによるパンデミックとなります。(COVID-19 can be characterized as a pandemic. This is the first pandemic caused by a coronavirus.)
4月7日、政府は、7都府県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県)に「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」。4月16日、全都道府県に拡大。
5月14日、北海道・東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪・兵庫・京都を除く39県で緊急事態宣言を解除。5月25日、全都道府県で解除。
7月22日、観光庁 Go To トラベル事業開始(東京都は対象外)
10月1日、Go to トラベル事業、東京都も対象に
10月1日、農林水産省、Go to Eat キャンペーン開始
10月2日、トランプ大統領がCOVID-19に感染
2021年
1月8日、埼玉・千葉・東京・神奈川の1都3県を対象に2月7日までの緊急事態宣言が発出
1月13日、大阪・兵庫・京都・愛知・岐阜・福岡・栃木の7つの府県を緊急事態宣言の対象地域に追加
2月14日、新型コロナワクチン 国内初の正式承認(米ファイザー製)
2月17日、新型コロナワクチン、医療従事者に先行接種始まる
4月5日、「まん延防止等重点措置」大阪、兵庫、宮城
4月12日、「まん延防止等重点措置」東京、京都、沖縄
4月20日、「まん延防止等重点措置」埼玉、千葉、神奈川、愛知
4月25日、東京、大阪、兵庫、京都に3回目の「緊急事態宣言」
5月7日、愛知、福岡に「緊急事態宣言」
5月16日、北海道、岡山、広島に「緊急事態宣言」
7月12日、東京に4回目の緊急事態宣言
7月23日、東京オリンピック、開幕
8月2日、緊急事態宣言、6都府県に拡大(東京、沖縄、埼玉、千葉、神奈川、大阪)
8月8日、東京オリンピック閉幕
8月19日、自宅療養中の妊婦 受け入れ先見つからず早産で新生児死亡
8月27日、緊急事態宣言の対象地域に、北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県が追加
11月1日、東京都の新型コロナ感染者が1年5か月ぶりに1桁に
11月27日、新変異ウイルス「オミクロン株」 懸念される変異株に指定
12月25日、抗体カクテル療法はオミクロン株に効果期待できず、投与推奨せず
2022年
1月21日、政府「まん延防止措置」13都県に適用へ
3月21日、「まん延防止」、すべての地域で解除
<ガイドライン・マニュアル>
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2022年5月版)」(2022年5月16日)
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第7.2版」(2022年5月9日)
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」(2022年4月28日)
- 国立感染症研究所「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について(第16報)」(2022年4月28日)
- 国立感染症研究所「新型コロナワクチンについて(2022年3月13日現在)」(2022年3月20日)
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第5.1版)」(2022年3月17日)
- 国立感染症研究所「SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第9報)」(2022年3月16日)
- 日本感染症学会「COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第13.1版」(2022年2月18日)
- 日本環境感染学会「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第4版」(2021年11月22日)
- 厚生労働省「新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について(10代・20代の男性と保護者の方へのお知らせ)」(2021年10月15日)
- 日本在宅ケアアライアンス「新型コロナウイルス感染症の自宅療養者に対する医療提供プロトコール(第5.1版)」(2021年9月17日)
- 日本産科婦人科学会「新型コロナウイルス感染で妊娠中に自宅や宿泊療養(ホテルなど)となられた方へ」(2021年8月23日)
- 東京iCDC専門家ボード「新型コロナウイルス感染症 自宅療養者向けハンドブック(第2版)」 (2021年8月)
- 日本プライマリ・ケア連合学会「訪問・通所系サービス従事者のための新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応の⼿引き ver 1.4」(2021年6月28日)
- 日本産婦人科感染症学会「妊婦さんとお母さんのための新型コロナウイルス感染症予防のためのQ&A」(2021年4月8日)
- 国立成育医療研究センター「妊婦さんの新型コロナウイルス感染症について−母性内科と妊娠と薬情報センターより−」(2021年3月1日)
- 日本感染症学会「花粉症患者の中に紛れ込む新型コロナウイルス感染症のリスク−“あやしい”と感じたときには積極的な検査を−」(2021年2月18日)
- 国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2021年1月8日暫定版)」(2021年1月8日)
- 日本渡航医学会・日本産業衛生学会「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド 第4版」(2020年12月15日)
- 小児COVID-19合同学会ワーキンググループ「小児の外来診療におけるコロナウイルス感染症2019(COVID-19)診療指針 第1版」(2020年11月30日)
- 日本プライマリ・ケア連合学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療所・病院のプライマリ・ケア 初期診療の⼿引き ver 3.0」(2020年11月7日)
- 日本精神神経学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流⾏下におけるメンタルヘルス対策指針 第1版」(2020年6月25日)
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