インフルエンザの流行が始まりました
2024年第44週 (10月28日-11月3日)
インフルエンザの定点当たり報告数は2週連続で増加。全国の定点当たり報告数は1.04となり、前週の0.87よりも増加、流行開始の目安である1.00を上回りました。都道府県別の上位3位は沖縄県(10.64)、静岡県(2.09)、千葉県(2.00)
*日本全体でインフルエンザ患者数を報告する医療機関が約5,000ヶ所、定点医療機関として指定されています。定点あたりの報告数とは、1つの医療機関が1週間で何人のインフルエンザ患者を診療したかを表す数字です。この数字が、1 以上ならその地域は流行域に入ったことになり、10以上なら注意報、30以上なら警報となります。
インフルエンザは、インフルエンザはインフルエンザウイルスによっておきる感染症で、毎年11月下旬から12月上旬頃に始まり、1-3月頃に流行のピークをむかえます。
インフルエンザウイルスにはA, B, Cの3タイプがあります。このうち、流行するのはA型またはB型です。高齢者や小児、免疫力のおちている人では死亡することもありますので、注意が必要です。
2019-20年のシーズンは、A型の流行が11月に始まって12月にはピークを迎え、2月以降の流行が非常に少なかったのが特徴的でした。B型も大きな流行はありませんでした。2020-21年のシーズン、2021-22年のシーズンを通して、全国的に流行はみられませんでした。
しかし、2022年12月から、およそ3年ぶりにインフルエンザの全国的な流行が始まりました。
症状
- 突然の発症
- 38度以上の発熱・悪寒(ゾクゾク感)
- 関節痛・筋肉痛
- 全身倦怠感・疲労感
- 頭痛
- 咳、鼻づまり、のどの痛み
原因
- インフルエンザウイルスA型またはB型
- 患者の咳やくしゃみなどによって病原体が飛び散って感染する(飛沫感染)
- 潜伏期は1-3日
- 発症前1日から発症後3-5日までの間、感染します。
診断
- 迅速診断キット:のどや、鼻腔から10-30分で診断可能です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とインフルエンザ
COVID-19の初期症状は、インフルエンザとよく似ているため、症状で鑑別することは困難です。発熱患者には、インフルエンザの検査だけでなく、COVID-19の検査を行う必要があります。
治療
- 安静・保温・水分の補給
- 解熱剤
- 抗ウイルス剤:48時間以内の早期投与が必要です。
- A型のみ有効:シンメトレル
- A型・B型ともに有効:
- リレンザ(吸入、1日2回、5日間)
- タミフル(内服、1日2回、5日間)
- イナビル(吸入、1回投与)
- ゾフルーザ(内服、1回投与)
- ラピアクタ(点滴、1回投与)
合併症
- 肺炎
- 小児では、意識障害と肝機能障害をきたす「ライ症候群」を合併することがあります。
- アスピリンの使用で頻度が上がることが報告されていますので、解熱のために小児のインフルエンザにアスピリンを使用することは控えてください。
予防
インフルエンザワクチン:インフルエンザワクチンは、効果が現れるまでに通常約2週間程度かかります。流行が始まる前の11月末頃までにワクチンを受けてください。ウイルスは毎年少しずつ変異しますので、毎年ワクチンをうつ必要があります。
<ワクチンを受けた後の注意>
- ワクチンを注射した日は、激しい運動や大量の飲酒は避けてください。
- 入浴はできますが、注射したところはこすらないでください。
- 発疹や高熱がでたら、注射をうけた病院や診療所に相談しましょう。
- 注射したところが赤く腫れたり痛んだりすることがありますが、2-3日で治ります。腕全体が腫れたりしたときは、医師の診察を受けてください。
- 近いうちに別の予防接種を受けるときは、6日以上間隔をあけて、反対側の腕に注射してもらいましょう。
以下に該当する方は、インフルエンザにかかりやすく重症化しやすいので、ワクチンを強くおすすめします。
- 65歳以上の高齢者
- 呼吸器疾患(肺気腫、気管支喘息など)
- 心疾患(心不全、弁膜症など)
- 腎疾患(慢性賢不全・血液透析患者など)
- 糖尿病
- 免疫の低下している人(AIDSなど)
- 医療関係者
抗インフルエンザ薬の予防投与
- タミフル、リレンザ、イナビルの3剤は、予防投与が認められていますが、保険の適応外となり、自費負担となります。
- タミフル(1日1回、1カプセル内服、7-10日間)
- リレンザ(1日1回、1吸入、10日間)
- イナビル(40mg1回吸入、または、20mg1日1回2日間吸入)
<参考>
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