花粉症

花粉症2

花粉症とは、花粉が鼻や眼の粘膜に付着して起きるアレルギー症状のことです。

鼻や眼の粘膜に付着した花粉からアレルギーの原因となるアレルゲン(抗原)が溶け出し、粘膜に侵入します。アレルゲンを認識したリンパ球はIgE抗体をつくり、肥満細胞に付着してアレルギーの準備状態にはいります。これを感作(かんさ)といいます。

感作された肥満細胞にアレルゲンが結合すると、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出され、この物質が血管や神経を刺激することでアレルギー症状(くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど)が起こります。

花粉の飛ぶ時期

鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版より引用

症状

  • 鼻:くしゃみ、鼻水、鼻づまり(症状は風邪に似ていることがあります)
  • 眼:目の充血、涙、眼のかゆみ
  • 頭:頭痛、頭が重い、頭がボーッとする
  • のど:のどの違和感、かゆみ、痛み、咳、痰
  • その他:微熱、からだがだるい、イライラする、寒気がする
  • さらに、気管支喘息やアトピー性皮膚炎が悪化することがあります

アレルギー性鼻炎の重症度分類:下の表を使って、花粉症の症状の強さを判定してみましょう。

アレルギー性鼻炎の重症度
鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版より引用

検査

  • 皮膚テスト-皮膚に抗原を注射したり、引っかいた皮膚に抗原を滴下して皮膚の反応を検査する。
  • 血液検査-血液中のIgE抗体の種類や量を調べることで、特定の抗原に対してのアレルギーを調べる。
  • 局所アレルギー検査-アレルギー反応の結果、鼻汁や涙中に好酸球が増加していることを調べる。
  • 誘発テスト-抗原の暴露によって症状が出ることを確認する検査。たとえば、抗原をしみこませたディスクを鼻の粘膜において、くしゃみや鼻水、鼻づまりがでるかをみる。抗原を点眼して、かゆみがでるかをみる。

治療

主な治療薬

  1. 経口ケミカルメディエーター遊離抑制薬
  2. 第2世代抗ヒスタミン薬
  3. ロイコトリエン受容体拮抗薬
  4. プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2拮抗薬
  5. 鼻噴霧用ステロイド薬
  6. Th2サイトカイン阻害薬
  7. 第2世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤
  8. 抗IgE抗体(商品名 ゾレア:難治例に適応)

症状が早い時期からでる方は、花粉が飛び始める2週間ほど前から、治療を始めるのが効果的です。

鼻の症状

くしゃみや鼻水の方がひどいか、鼻づまりの方がひどいかで薬の使い方が変わります。

  • くしゃみや鼻水が強いタイプ=くしゃみ・鼻漏型
  • 鼻づまりが強いタイプ=鼻閉型

症状が強く、コントロールが困難なときは、経口ステロイド薬を使用することがありますが、副作用の問題があり、できるだけ短期間の使用にとどめるべきです。

眼の症状

遊離抑制薬や抗ヒスタミン薬の点眼薬をおもに使います。症状が強い場合はステロイド点眼薬を使用することがあります。

花粉症に対する治療法の選択

鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版より引用

予防法

  1. 花粉情報をチェック
    • 特に雨上がりで晴れた風の強い日、乾燥した日にたくさん飛びます。
  2. 花粉の暴露を防ぐ
    • 飛散の多い時の外出を控え、外出時にマスク,メガネを使う
    • 表面がけばだった毛織物などのコートの使用は避ける
    • 帰宅時,衣服や髪をよく払ってから入室する
    • 外出後には眼や鼻を洗い、うがいをする
    • 飛散の多い時は窓,戸を閉めておく。換気時の窓は小さく開け,短時間にとどめる
    • 飛散の多い時のふとんや洗濯物の外干しは避ける
    • こまめに掃除をする。特に窓際を念入りに掃除する

<参考>
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会編「鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版」

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