鉄欠乏性貧血とは、赤血球の原料になる鉄の不足によっておきる貧血です。貧血のなかで最も頻度の高いものです。
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診断
赤血球は原料不足のため、十分に成長できなくなり、小型で色が薄くなります。赤血球の大きさをあらわす平均赤血球容積(MCV)が低下し、小球性貧血といわれます。
鉄欠乏状態が続くと、まず、体の中に貯蔵されている貯蔵鉄(フェリチン)が減少し、その後、血液中の鉄が減少し、ヘモグロビンが減少して貧血になります。
小球性貧血で血清鉄、フェリチンが減少すると、鉄欠乏性貧血と診断されます。
1日あたりの鉄の必要量は、おおよそ10mgです。成長期の若年者、閉経前の女性や妊娠中の女性は、より多くの鉄が必要になります。古くなった赤血球は壊されて、原料の鉄は再利用されますが、一部は汗・尿・便などから排泄されます。
消化管からの出血や、月経による出血、食事の鉄分不足など原因で、鉄欠乏がおきます。とくに、閉経前の成人女性は、月経により定期的に鉄を喪失するので、高頻度で鉄欠乏状態となり、10−20%の方が鉄欠乏性貧血と推定されます。
治療
- まず、出血の原因を調べるため、消化管や婦人科疾患の検査を行います。
- 鉄剤の内服を行います。通常、2か月ほどで貧血は正常化します。
- 鉄分の多い食品を食べるようにしましょう。ただし、食事だけでは限界がありますので、医師の指示に従って治療を受けてください。
鉄分の多い食品の鉄含有量
通常食品 | 乾燥食品 | ||||
豚肉(レバー) | 7.8mg/60g | いわし(丸干) | 1.8mg/2匹 | 乾燥ひじき | 5.5mg/大さじ1杯 |
牛(レバー) | 2.4mg/60g | ホッキ貝 | 2.2.mg/50g | 切り干し大根 | 1.9mg/20g |
あさり水煮 | 11.3mg/30g | 小松菜 | 2.8mg/100g | 焼き海苔 | 0.8mg/1枚 |
カツオ | 1.5mg/80g | ホウレンソウ | 6.0mg/束 | 高野豆腐 | 0.4mg/6g |
本マグロ | 0.9mg/80g | ゆで大豆 | 2mg/100g | ごま | 1.8mg/大さじ1杯 |
牛ヒレ肉 | 2mg/80g | 春菊 | 1.7mg/100g | ||
鶏モモ | 0.3mg/80g | パセリ | 0.8mg/10g | ||
たまご | 0.9mg/個 | ブロッコリー | 0.7mg/70g |
トピックス:最近、ピロリ菌の感染が、鉄欠乏性貧血の原因になることがわかってきました。
<参考>
特集「貧血:基礎知識から治療の最前線まで」 日本内科学会雑誌 第7号 2015.
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