呼吸器・感染症
医知場
コロナでよくでる用語集
新型コロナウイルス感染症の記事を読むために役立つ用語をまとめています。
2類相当
- 新型コロナウイルス感染症は、感染症法で「新型インフルエンザ等感染症」に分類されています。いわゆる1-5類感染症という分類からいえば、2類感染症に近いので「2類相当」という表現が使われています。
5類感染症
- インフルエンザ、梅毒、性器クラミジアなどと同類の感染症
- 患者の同意なしに、隔離のために入院をさせることはできません
- 就業制限や外出の自粛をする義務はありません
- 医療費の公費負担はなくなり、保険診療となるため、検査や入院費の自己負担が必要です。ワクチン接種の料金も自己負担となります
- 保健所による感染者の健康状態の把握はなくなり、入院の調整も行いません
ツインデミック
- 2つの感染症が同時流行することですが、とくに新型コロナとインフルエンザの同時流行に使われています
オミクロン株
- オミクロン株の潜伏期間はこれまでの流行株と比べて短く、約3日
- 日本国内でも、2022年2月頃にデルタ株からオミクロン株の亜系統であるBA.1系統、次にBA.2系統、現在はBA.5系統に置き換わっています。
オミクロン変異株
- オミクロンの中では多くの亜系統が発生しているが、BA.5系統が63.7%、BA.2系統が15.2%、 BA.4系統が0.7%と、世界的にBA.5系統が流行の主流。日本国内では、10月以降BQ.1系統(BA.5.3系統の亜系統)およびBA.2.75系統の占める割合が上昇傾向。
- 世界各地でBA.2系統やBA.5系統を起源とする、感染力が強い亜系統が多数発生している。米国ではXBB.1.5系統、欧州ではBQ.1系統・CH.1.1系統(BA.2.75.3系統の亜系統)・XBB.1.5系統、アジアではBQ.1系統・XBB系統、オセアニアではBQ.1.1系統・CH.1.1系統が増加傾向。この中で、XBB系統が最も感染力が強いという報告がある。
エアロゾルと飛沫(ひまつ)
- 飛沫(ひまつ)とは、細かく飛び散る水滴、しぶきのことです。感染者の口や鼻から、咳、くしゃみ、会話のときに、ウイルスの塊に水分を含んだ粒子が発生します。中心のウイルスの塊を飛沫核といいます。飛沫核のサイズは5μm以下のきわめて小さな粒子ですが、周囲に水分を含んだ飛沫は100μmほどになります。飛沫は、口、鼻、眼などの粘膜に付着して感染をおこします。
- 飛沫から水分が蒸発して粒子が小さくなったものを、エアロゾルといいます。飛沫は粒子のサイズが大きいので、1−2mほどで落下します。粒子のサイズが小さくなると落下する距離は伸びていくため、エアロゾルは飛沫よりもさらに遠くまで拡散します。エアロゾルは小さいため、吸い込むと肺の奥まで届いて感染をおこします。
- 新型コロナウイルスは、一般的には1m以内の近接した環境で感染しますが、エアロゾルは1mを超えて空気中を漂う可能性があり、換気が不十分な密な場所では感染が拡大するリスクがあります。
心筋炎・心膜炎
- 心臓は心筋(しんきん)という筋肉でできています。心筋が炎症をおこして心臓の機能が低下する病気が「心筋炎」です。また、心臓を包んでいる膜(心膜)が炎症をおこす病気を「心膜炎」といいます。胸の痛みや動悸、息切れ、むくみなどの症状が現れることがあります。まれに、10代・20代の男性でワクチン接種後4日ほどの間におきる事例が報告され、注意喚起されています。
抗体カクテル療法
- ロナプリーブ(商品名)は、新型コロナウイルスに対する2種類の抗体、カシリビマブとイムデビマブをカクテルのように混ぜ合わせた薬で、ウイルスの増殖を抑える効果があります。カシリビマブとイムデビマブは、ウイルスのスパイクタンパク質が、ヒトの細胞に結合し細胞内に侵入するのを阻止します。2種類の抗体を組み合わせることで、ウイルスの変異に効果の減弱を防ぐ効果が期待されています。この薬は、発症から時間の経っていない軽症例に効果があります。重症化リスク因子があり、酸素投与を必要としない患者が対象となります。
ブレイクスルー感染
- ワクチンを接種しているにも関わらず、感染してしまうこと。ワクチンによる免疫が十分にできていない場合や、ウイルスの変異によりワクチンの効果がでない場合などがある。新型コロナワクチンだけでなく、インフルエンザなど他のワクチンでもブレイクスルー感染は発生します。
緊急事態宣言
- 全国的かつ急速な感染の拡大を抑えるために、政府が都道府県単位で行動・移動の制限や、商業施設・飲食店等の営業の自粛等を要請すること。
- 外出・移動
- 20時以降の不要不急の外出自粛
- 外出する場合も極力少人数
- 混雑している場所や時間を避けて行動
- 感染対策が徹底されていない飲食店等の利用は控える
- 買い物は少人数で、なるべく頻度を減らす
- 不要不急の帰省や旅行など都道府県間の移動は極力控える
- 催物(イベント等)などの開催
- 催物(イベント等)は、上限5000人かつ収容率50%などの規模で、開催は21時まで
- 施設の使用
- 酒類又はカラオケ設備を提供する飲食店等には休業要請
- それ以外の飲食店は、20時までの営業に短縮
- 多数の方が利用する建築物の床面積の合計が千平方メートルを超える施設は、20時までの営業に短縮
- 百貨店の地下の食品売り場等については、人数管理、人数制限など入場者の整理
- 路上・公園等における集団での飲酒はしない
- 職場への出勤・テレワーク
- 事業者は、在宅勤務(テレワーク)の活用や休暇取得の促進等により、出勤者数の7割削減を目標
- 20時以降の勤務を抑制
- 職場に出勤する場合、時差出勤、自転車通勤等の人との接触を低減する
- 事業者は、在宅勤務(テレワーク)の活用等による出勤者数の7割削減の実施状況を自ら積極的に公表
- 職場では、二酸化炭素濃度測定器を設置して換気の状況を確認
まん延防止等重点措置
- 緊急事態宣言は政府が指定した各都道府県全域が対象となるのに対して、まん延防止措置は知事が指定した特定の地域が対象になる。基本的な方針は緊急事態宣言と大差ないが、行動制限の範囲や命令違反等の罰則が抑えられている。
Happy hypoxia(幸せな低酸素血症)
- Hypoxiaとは、肺の機能が低下して、酸素が血液のなかに十分にとりこめなくなった状態で、医学用語で「低酸素血症」のことです。血液中の酸素濃度(酸素飽和度)が低くなると息苦しさを感じるのですが、自覚症状がひどくないのに酸素飽和度が極端に低下していることを、happy(幸せな、苦しくない)hypoxia(低酸素血症)と表現しています。新型コロナウイルス感染症では、自覚症状だけで判断せず、パルスオキシメータで酸素飽和度(SpO2)を測定することが重要です。
コロナ禍(か)
- 「禍」は「か」と読み、「わざわい」、「ふしあわせ」の意味です。コロナ禍は、新型コロナウイルスによる災難や危機的状況を表した造語です。「禍」の反対は「福」で、「禍を転じて福とする」などと使われます。
変異株
- 一般的にウイルスは増殖や感染を繰り返す中で、少しずつ遺伝子配列の変異を起こし、もともとのウイルスと性質の違う変異株が作られます。新型コロナウイルスも約2週間で、新たな遺伝子変異を起こした変異株ができていると考えられています。
集団免疫
- ある病原体に対して、人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者がでても他の人に感染しにくくなることで、感染症が流行しなくなります。この状態を集団免疫といいます。
ワクチン
- ワクチンはウイルスや細菌そのもの、またはウイルスの一部で、ワクチンを接種することで、ヒトに免疫をつくり感染しにくくします。もちろん、ワクチンのもとになるウイルスや細菌の成分は、毒性や感染力のないものにしてあります。今回、新型コロナウイルス感染症のワクチンは、今までのワクチンと全く仕組みの違うものが開発されています。
- メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチンは、ウイルスの遺伝子の一部をヒトに注射し、それがヒトの細胞に入り、ヒトの細胞がウイルスのタンパク質を作るものです。これによって、間接的にヒトにウイルスの一部を投与することになり、免疫が作られます。組換えタンパクワクチンは、ウイルス遺伝子の一部を昆虫細胞などに組み込んで、ウイルスのタンパク質を合成したものです。
濃厚接触者
- 濃厚接触者は、新型コロナウイルスの感染者と近距離で長時間接触し、感染の可能性が高い方です。
- 患者と同居、または長時間の接触(車内や航空機内を含む)があった
- マスクやアイシールドなどの適切な感染防護なしに患者を診察、看護、介護した
- 患者の痰や体液等に直接手で触れた
- 手を伸ばしたら届く距離(1m程度以内)で15分以上接触があった
- 感染者から感染する可能性があるのは症状がでる2日前からです。
クラスター
- 英語で「集団、群れ」のことで、感染者が集団で発生していることを意味します。大規模な集団発生が起きた場合を、メガクラスターと呼びます。クラスターをみつけ、迅速に対応することが感染防止の鍵と考えられています。
感染可能期間
- 症状がでる2日前から、他人に新型コロナウイルスを感染させる可能性がある期間と考えられます。
患者
- 「発熱、咳・痰、息が苦しい、味や臭いがしない」などの症状があり、検査(PCR検査や抗原検査)で新型コロナウイルス感染症と診断された方です。検査で新型コロナウイルスがみつかったからといって、必ず、患者ということではありません。症状がある方を「患者」といい、症状がない方は「無症状病原体保有者」といいます。
無症状病原体保有者
- 症状はないが、検査で新型コロナウイルスが検出された方です。
疑似症患者
- 症状からは新型コロナウイルス感染症が強く疑われるが、検査では新型コロナウイルスが検出されない方です。
ココア (COCOA)
- 厚生労働省が開発した接触確認のためのアプリです。1m以内に15分以上近づいたアプリの利用者を記録しています。感染者が発生すると接触した可能性のあるアプリの利用者に通知が届きます。
- 2022年11月17日から機能停止、利用者は最新版にアップデートしてから削除の操作を行う必要があるとのことです。
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